ロクリンシャ

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座談会:ロクリンシャ名著を読むシリーズ第1回『失敗の本質』!

こんにちは。いのです。

更新の順序はめちゃくちゃですが、今回はロクリンシャ3月回!

比較的新しい本をテーマに選ぶことが多いロクリンシャですが、たまには読み継がれている本であーだこーだ話すのも、読書の醍醐味だったりすると思うんですよね。

というわけで、新企画「ロクリンシャ名著を読むシリーズ」がスタートです。

第1回のお題は、『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』! 

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

 

84年に刊行されてから30年以上にわたって、旧日本軍の研究書としてはもちろん、組織論の名著として各界の著名人から支持され続ける『失敗の本質』。

旧日本軍が実行した6つの作戦、「ノモンハン事件」「ミッドウェー作戦」「ガダルカナル作戦」「インパール作戦」「レイテ海戦」「沖縄戦」を組織論としてとらえ直し、旧日本軍の問題としてだけではなく、現代社会の様々なコミュニティで起こり得る普遍的な失敗の事例として分析する本書の試みは多くの人々の心をつかみ、近年では小池百合子東京都知事が座右の書として挙げたことから、書店でも特設コーナーが設けられたり、関連書籍が出たりと、今また注目が集まっています。

一方、豊洲移転問題や学校法人と政府との関係など、責任の所在をめぐり議論が紛糾している昨今(と言っても少し前の話題になってしまいましたが)は、組織というもののあり方を見つめなおす好機とも言えるかもしれません。

我々ロクリンシャもまた、数年間会社という組織に属し、それ以前も文芸サークルという組織を運営してきたわけで、それなりに色んなジレンマを抱えながら生きてきたりしているはずなので、それぞれ何らかの言葉にしたいことがあるのではないかと思った次第です。

座談会のテーマは何でもアリ。あえて議題を設けず、「失敗の本質」という本が僕たちの何を浮かび上がらせるのかを楽しんでみようという、フリースタイルトークで今回はお届けします。

座談会の前に、少しお散歩しました。

 

豊洲をぶらぶらしてみよう。

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失敗感のある街ということで、みつぼり君チョイスで豊洲へ。新市場の周辺をぐるっとまわりました。

真新しい建物が堂々と建っているのに、周囲にひとっこひとりいない、なんとも寂しい状況。

映画の撮影に使えるんじゃないかとか、東京オリンピック期間中のコミケの会場にどうかとか、そんな話をしつつ、周辺のタワーマンションに住むブルジョア家庭への呪詛を撒き散らしながら、豊洲駅有明駅までをお散歩。

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パナソニックのショウルームで無邪気に遊ぶ男たち。 

 

この後、月島に場所を移して、座談会スタートです。

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もんじゃ焼きの作り方に対して、「グランドデザインが無い」「戦力の逐次投入」など、覚えたてのパワーワードをとりあえず使いたがる3人。痛いミリオタみたいです。

 

【本を読んでみてどうでした?】

みつぼり:居酒屋でこれ読んでたらさ、常連らしいおっさんに死ぬほど絡まれてさ。

いの:どんな感じで?

みつぼり:「失敗の本質かあ・・・!俺も長く生きてきたけど痛い目みないとダメだなあ!!がはは!いいねえ!!」みたいな。

いの:www

さいとう:きつい。

みつぼり:さて、どんな話から入ろう。まず、面白かった?

さいとう:まあ、面白かったけど、結構読みにくかったな。そもそもの軍隊のシステムとか、知識のベースに入ってないと若干キツい。

いの:まあ、戦況そのものを解説するのが目的の本ではないからね。俺も文字だけだとイメージしにくかったから、ドキュメンタリー番組を観てもう一度読んで、やっと入ってきた感じだったかな。

さいとう:ノモンハン事件が一番分かりにくかった。

ノモンハン事件昭和14年満州国とモンゴルの国境戦をめぐって発生した、日本軍とソ連軍の大規模な衝突事件。

みつぼり:これだけ太平洋戦争以前だから、前提となる国際情勢が分からないとつらいかもね。でも、分からない部分は読み飛ばしてもいいんだよねこの本は。戦争を語るのが目的じゃないって本の中でも書いてあったとおりにさ。

いの:6つの作戦について書かれた第1章はあくまで事例紹介で、2、3章の検証こそが本質なわけで、実際2、3章に入ると格段に読みやすくなるね。印象に残ったところはあった?

さいとう:「顔色で察してほしかった」ってのは最低だよな

いの:インパール作戦牟田口廉也なw あれはひっどいよなw

みつぼり:俺のメモ帳にも「牟田口は無能」って書いてあるw やっぱり皆思うところは同じかw

牟田口廉也インパール作戦の指揮官。すでに作戦中止が不可避の戦況の中、様子を見に来た上司に作戦中止を提案しなかったことについて、後に「顔色で察してもらいたかった」と語った。

インパール作戦昭和19年3月から7月まで実施された、インド北東部インパールの攻略を目的とした作戦。補給を軽視した計画で多数の餓死者を出したことで有名。最近では今年の終戦記念日NHKスペシャルで取り上げられたり、朝ドラ「ひよっこ」で言及されたりしましたね。NHKが戦争関連の番組を無料配信しているので、下記のリンク先をご覧ください。

さいとう:言葉にしない美徳、みたいなのがあるのかね、日本人には。この空気なら大丈夫だろう、伝わるだろうみたいな。

いの:それで何万人も死なせてるんだから世話ないよな。

さいとう:結局この半月くらい後、牟田口は作戦中止を上申するんだけど、上司は牟田口が自決するのを恐れてそれをはねつけて、かえって攻勢継続を命じるってのがもうね。

※上司=河辺方面軍司令官のこと。昭和12年の盧溝橋事件においても牟田口の直属の上司であり、それ以来両者はとくに親しい間柄であった。

みつぼり:大勢の人の命を預かってるっていう感覚がもう無くなっちゃってるんだろうね。

いの:上層部内での思いやりみたいなのはあって、そもそも牟田口がインパール作戦の指揮官になったのも、以前の作戦での無念を晴らしてやりたいっていう上司の温情だったりするんだよね。あと、本には書かれてないんだけど、総理大臣の東条英機インパール作戦にゴーサインを出したのは、東条が個人的に自由インド仮政府の首相チャンドラ・ボースに惚れ込んでて、インドから連合軍を追い出すのに前向きだったというのもあるらしい。

さいとう:そんな人がいたんだ。

いの:戦争が終わった後に、謎の飛行機事故で死んだらしいんだけど。

みつぼり:何やらきなくさい話だね。

いの:きなくさいね。とにかく、上層部の人間同士の情と、名もなき兵士たちの命の軽さのギャップがすごいよね。あと、読んでて興味深かったのはミッドウェー海戦かな。敗戦の転機になった戦いだったことくらいは知ってたけど、ギリギリのところでの判断が勝敗を分けているのが面白くて、自分が南雲司令長官だったらどうしただろうっていうシミュレーションをしながら読めた。

ミッドウェー海戦昭和17年に起きたミッドウェー島攻略を目指す日本軍とアメリカ軍の衝突。ミッドウェー島を抑えることで後のハワイ島攻略の足掛かりとし、同時に島の奪回に向かってくるアメリカ軍艦隊を撃滅することを作戦目標としていた。結果的に日本軍は、大型正規空母4隻をはじめとした貴重な戦力を多く失う大損害となった。作戦指揮は南雲忠一司令長官。

みつぼり:まあ、ミクロな視点で自分ならどうするかを考えるのも面白いかもしれない。ただ、この本的な視点で言えば、仮にまぐれ当たりの判断を選択できたとしても、結局作戦に失敗した根本的な要因、要は索敵能力に重きを置かない体制だとか、上層部の戦略が下まで伝わっていないだとか。そこが改善されない限り、どこかで同じことが起きてるわけだよね。たまたまミッドウェーが分水嶺になっただけでさ。

いの:作戦目標の統一もね。海軍は短期決戦思想、陸軍は長期決戦思想で戦争始めてるのはいくらなんでもガタガタになって当然だよね。

さいとう:ひどいよなそれ。あと、補給の軽視ね。

みつぼり:よくいろんな戦争体験記読むけどさぁ、南の島に行ってる人はとにかくひもじかったって言ってるんだよね。サイパンでもルソンでもガダルカナルでも、とにかく食うに困ってる。加えてマラリアとかの病気にもやられて、敵の攻撃以上に困らされたっていうのはさ、いろんな記述にあるじゃん。結局、南方に適したような戦い方を見つけられないまま戦争に突入しちゃったっていうのが、そもそも大きな失敗だったでしょうと。

いの:そういう意味で陸軍ってのはしんどいよね。海軍ってのはやられたらそもそも帰って来れないってのがあるけどさ、陸軍はその場に残ってっていうのがあるじゃん。地獄に置き去りにされるようなもので、それはやっぱキツいよね。補給の話だと、インパール作戦の時は、あまりに自分のとこの補給がないから、イギリス軍が飛行機で投下する物資を、横から奪い取る作戦とかやってたらしいんだよね。

さいとう:悲惨すぎるよ。

みつぼり:あとさ、風船爆弾ってのも非現実的すぎるよね。

風船爆弾:爆弾を搭載した気球をジェット気流に乗せて飛ばし、アメリカ本土空襲を行うために作られた兵器。昭和19年冬から昭和20年春まで、約9300発が放球された。後述の死者のほか、小規模の停電や山火事をアメリカ本土で起こしている。

いの:一応あれアメリカ本土で6人殺してるから。

みつぼり:事故だよそんなのw だって狙ってないじゃん。

いの:しかも死んだ6人て、ピクニックに来てた子供と女だから。

みつぼり:うわあ。

さいとう:嫌なとこ行ったねー。

みつぼり:読んでて笑っちゃったんだけどさ、風船爆弾の製造に使うために、こんにゃくが日本から無くなったとか書いてあったよね。

さいとう:書いてあった。

みつぼり:どんな面白ニュースだよ。

さいとう:独り身は困っただろうねえ。

みつぼり:そうだねw まだカップヌードルとか無かったから。挿すもの他に無かったから。

さいとう:話は変わるけど、本の中では、アメリカ軍の合理的な軍隊システムと日本軍が比較されてるけどさ、変な話、俺の感覚だとかっこいいと感じるのは日本軍の方なんだよ。

みつぼり:そうかい?

いの:合理的に立てた作戦で合理的に勝っても、カタルシスに欠けるみたいな? IT野球より雑草魂みたいな。

さいとう:アメリカ軍が均質化された、全体のステータスを平均的に上げたものを作るのに対して、日本軍は一点豪華主義ゼロ戦でも大和でもそうだけど。

いの:最強決戦兵器!的な。

さいとう:そうそう。大量生産の工業製品よりも職人技を好むのは日本人っぽい。戦闘機のパイロットの撃墜数で見ても、アメリカ軍はマックスで20数機とかでしょ。

みつぼり:日本軍はどのくらいなの?

さいとう:100何機くらい。ドイツに至っては300機以上だけどね。

いの:それだけ、日本とドイツが兵士を酷使してたって話でもあるかもね。

さいとう:もちろんそう。本にも書かれてたけど、アメリカ軍は戦闘機のパイロットのシフトをちゃんと組んで、兵士に休息を与えてたんだけどさ。でもそれだけ、戦場を無双する英雄的なものへのあこがれが強い国民性なんじゃないかな、日本人は。

いの:源義経とか、楠木正成とか、英雄が寡兵を率いて不利な戦況を覆すっていうのは、昔から皆好きなシチュエーションだよね。

さいとう:それこそ、義経鵯越の逆落としにならって、インパール作戦鵯越作戦なんて呼んでた人もいたわけで。

みつぼり:ただそういう観点で言うと、 日本史では一方で信長の鉄砲隊が武田の騎馬隊に勝利したみたいな、戦略的な合理性で勝った戦もあるわけでさ。結局、都合のいいところだけ拾っていいように使ってただけで、歴史から本気で何かを学ぼうという意識は全く無かったんだよね。

いの:質も量も連合軍に押されてる場面だからこその、英雄待望論だったり一点豪華主義だったりするわけで、それが国民性と断言できるのかは難しいところだとは思う。そういえばさ、さっきの補給の話で思い出した。あのー、一昨年こんな映画を見たんですよ。

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さいとう:『野火』って、大岡昇平の?

いの:そうそう。それが原作。この映画がすごい良かったんですよ。ひたすら地獄巡りみたいな。アメリカ軍との戦いって言うよりも自然との戦いだし、同じ仲間との戦いだしで、俺は今何をやってるんだろうっていう、ある1人の兵士の感覚を追体験できるような映画だったんだよね。時期的には、レイテ沖海戦が失敗して、見捨てられたフィリピンに従軍してる兵の話なんだけど。その兵士がどんどん正気を失っていくんだよね。当時の兵隊さんていうのは、ほんとにこういう景色をきっと観てたんだろうなっていうのが生々しく伝わってくる映画で、すごく良かったんですよね。一昨年のベストワン映画です、僕の中で。

みつぼり:暗くなりそうな映画だなあ。

さいとう:そりゃそうだろ。ハッピーエンドじゃないだろ。

いの:でもね、フィリピンの自然だけは馬鹿みたいに綺麗なんですよね。そこをさまよい歩いている感じが、夢うつつの中にいるような、不思議な感じでね。できたら映画館で没入して見てほしいね。夏場に空調の効きの悪い劇場で観れたら、臨場感があって一番いい。

みつぼり:でも俺、映画館トラウマあるからさ。

いの:そうなの?

みつぼり:前々回の上野の一件で。(→ 座談会:『はじめてのピンク映画!』前編 - ロクリンシャ )

いの:あれは特殊な状況すぎるでしょw 

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 【責任のあり方について】

いの:責任の所在問題もちょっと話したかった。責任の所在が不明確っていうのは、逆説的に言えば、ちゃんと段階を踏んでコンセンサスを取りましたよっていう、独断でやってませんよっていう証明として手順を踏むわけじゃないですか。特に官僚機構は。そういう手順を踏んでいるからこそ、逆方向から遡って行った時に、責任の所在が不明確になるって言うのは、しょうがないよねってのはちょっとあると思う。豊洲移転問題なんかもそうでさ。

さいとう:でもこの本に書かれてる事例の場合はどうだろう。そういう段階をシステマチックに踏んでいたと言うよりは、誰もがみんな自分で決定することをためらって、空気を読んで察してねって言う所による責任の所在の不明確って言うんですか、そういうことじゃないかなと思う。最終的にはオーケーって出す1番上の人が、本来は責任を取るべきだと思うけど、日本軍みたいな上層部がお互い空気を読み合う構造だと、そりゃ責任がなあなあになりますよ。

みつぼり:そりゃそうだ。

さいとう:ノモンハン事件だっけ? 参謀の独断専行が司令部でなんとなく許容されちゃって。それと、インパールの時も、東条英機が現地にこの作戦で問題ないのかって質問状を送ったんだけど。

みつぼり:「無いっす」って返ってきて。

さいとう:じゃあ分かったって言って。だって普通、そんな中途半端な回答で本当かよと思うじゃん。でも「お前が大丈夫って言うんだったらいいよ」っていう。

いの:そこで東条が深く考え始めちゃったら、東条自身の責任の割合が膨れ上がっていくわけで。あの組織の中では愚鈍なふりをしていた方が利口だったのかも。まあ、一国の総理大臣がそれって終わってると思うけど。

さいとう:誰も彼もが決定するのを嫌がったのかなあと思う。怖いからね、責任を取るってのは。特に何万人が生きるか死ぬかの決断だって考えたら。 

未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)

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余談ですが、上記の『未完のファシズム』という本も一緒に読むと、日本軍の失敗に至る思想の形成について、『失敗の本質』とまた違う方向から追えるのでオススメです。

 

【目的の明確化、できてますか?】 

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さいとう:目的の明確化、目的の周知ってのは、 すごい重要だなって思う。最近自分の仕事でも思った。

いの:うん。

さいとう:というのも、最近仕事で使いだした工事関係の下請けの業者が、組織立った行動をするところでさ。そこって3人だけで現場に来ても、その3人で朝礼をしっかりやるんですよ。今日はこれこれこういう作業を、これこれこういうことを目的としてやりましょうっていうのを、毎日やる。今まで見てきた業者だと、トップが1人いて、その人が色々指示するんだけど、今日はどこまでを目標にするみたいな話を、下っ端まで伝えない。「とりあえずこれやっとけ」って感じなんだけど、それってすごく不安定な状態で、何か突発的な事象が起きた時に、的確な判断が個々人でできないんだよね。

みつぼり:そうだろうね。

さいとう:最初は、何あの人たち3人で朝礼とかやっててバカじゃねえのとか思ってたけど、そういうのってひとつ重要なのかもなってのは、ちょうどタイムリーにこの本読んで思った。ミッドウェーでは、ミッドウェー島の攻略によって、米空母艦隊を誘い出すことが山本五十六ちゃんの考えていた戦略だったのに、実際は攻略前に艦隊が出て来ちゃって、島の攻略と空母艦隊の撃破どっちを重視するかで判断に迷いが生じてるんだけど、もう空母艦隊と対峙している以上、島の攻略と天秤にかける必要はないのに、目的の周知徹底が現場サイドまで行き届いてないもんだから混乱が起きたわけでさ。同じようなことは全然、日常的にあるよね。

みつぼり:あるある。嫌というほどある。

さいとう:社会に貢献してとか、売り上げ何億円とか、そういうぼんやりしたスローガンを読み上げるみたいな朝礼なら無駄だろうけどさ、具体的なことが言える前提でね、朝礼ってのは効果があるんだなと思う。

みつぼり:俺も以前の会社で、朝礼をやる主任とやらない主任の下にそれぞれついた。やらない方の主任は自分の腕には自信があるし、売り上げもちゃんと伸ばすから、自分が分かってればいいってスタンスなんだけど、下の人間には毎日のルーティン以外の全体像が見えてこないんだよね。戦争に置き換えれば、俺って何のために戦ってるんだろうっていうような。お国のため、家族のため、みたいなぼんやりしたスローガンはあるかもしれないけど、南の島のジャングルをひたすら進んでいって、この作戦の目的っていったい何だろうって思ってるような、そんな気分だった。朝礼の話に戻すけど、やっぱり目的の共有を図るコミュニケーションをサボる人は、個々人のステータスはともかく、人を動かす立場としての資質は無いと思うよ

いの:俺のところは4人だけの係でデスクワークなんだけど、他の3人が今何をやってるのか、ちゃんと把握できてないことが多いんだよね。だからなるべく自分がやってることを相手に伝えたり、何をやってるのか聞いたりするようには意識してる。こういうのってやっぱり面倒で、そのひと手間を惜しんじゃうときもあるけどね。だから、言葉にしなくても分かるのが日本人的って話がさっき出たけど、それって要は面倒くさがりってだけなんじゃないのって感じもする。日本人は真面目なふりして怠惰なんじゃないかと。

みつぼり:やっぱり、自分がやってることが何に結びついてるのか分からないと、応用も工夫もないし。時間の意識もないし。

さいとう:モチベーションも上がらないし。

みつぼり:何やってんだかよく分かんねえなってのが一番嫌だ。まあ、分かってなおクソな時もあるけど。

いの:あとはね、その場の空気が目的より優先されてしまうこともあると思う。

みつぼり:あるねー。

いの:本でたびたび出てくる、「組織内融和の重視」のデメリットにあたるのかな。目的の実現よりも上司の顔色を見て行動することに比重が置かれることで、当初の目的から離れていってしまうのを実際に見た。以前いた部署の課長が神経質なパワハラ課長で、人に任せられないタイプの人だったんだよね。「あれはどうなった、これはどうなんだ」というのを何度も何度も聞いてきて、部下にプレッシャーを与えてくるんだけど、皆だんだん課長が怒らない仕事の仕方を学習していくんだよ。でも、それがエスカレートすると、課長が本来意図していたよりも過剰な要求を取引先に指示したりするようになる人が出てくるんだよね。課長としてはそこまでやれとは言ってないのに。

さいとう:うんうん。

いの: やりすぎなんだけど、でも積極的なやりすぎって、あまり咎められないじゃん。

さいとう:せいぜい諫められるくらいだよね。やる気は買うよ、みたいな。処罰の対象になりにくい。

いの:マイナス評価にしにくい。逆に、消極的な姿勢だと、「なんでやってなかったんだ!」ってなって、それってマイナス評価以外の何物でもないじゃん。だったら過剰にでもやろうと。これはこの本で言えば、日本軍の失敗の理由のひとつに挙げられている、プロセスや動機を重視した評価ってやつで、積極的だったから独断専行による失敗を大目に見てもらえた、ノモンハン事件の辻参謀みたいなケースかな。間近で見ていて、これはすごく怖いことだなと思ったね。

 

【『失敗の本質』、生かせそうですか?】 

みつぼり:この本で書かれたような失敗は、どこでも繰り返されますよ。例えばこの本にすごい感銘を受けた人がいたとしても、人が寄り集まってやってる以上、こういう事は起きますよ。

さいとう:だからこそ、人の介在が極力少ないシステム重視の構造を作るしかないって話じゃない?

みつぼり:でもそれは難しいことで、システム重視がいいって言うのはまた違うと思うんですよ。例えば本当に合理性だけで判断するのって現実的には無理があって、「あそこの島の守備隊はもう見捨てよう」みたいなのって、ゲームじゃないんだから、はいそうですねとはならない。人が人である以上、感情があってものを考えている以上は、判断ミスは絶対に起こりうるものだし。例えばだけど、この本を当時の旧日本軍の首脳みたいな人たちが読んで「あーなるほど」と思って、じゃあやるかっていうとやらないと思うし、逆にやろうとする人っていうのは外されると思うんですよね。そういう組織風土や空気ってものがあるから。

いの:この本が提示する合理的な組織論は、日本的な土壌には合っていないように思えると。

みつぼり:参考資料で出したかったんだけど、横浜DeNAベイスターズの前社長の池田さんていう、球団の経営状況や組織風土を一新させた人が去年、『空気の作り方』っていう啓発本みたいなのを書いてて、会社のガチガチで昭和的な風土をどうやって変えていったかって本でさ、それが頭によぎって。読んで思ったのは、組織を変えるには組織論とかを運用するべき人が組織論の本質を理解して、カリスマ性で以って引っ張っていく方法以外はなにも無いんですよね。下っ端が理解してても、「でもウチはこういう風土だからね・・・」で結局変わらないんだよ。 

空気のつくり方

空気のつくり方

 

いの:悲しい結論だけど言いたいことは分かるよ。それとさ、理屈を理解していざ実践しようとすると、いろんな壁がある。そういうところで、楽な方楽な方に流れていくと、失敗に絡めとられていく。どっかで妥協とか繰り返していくうちに、いつの間にかバッドエンドフラグが立っていて、日本軍みたいな失敗に引きずり込まれてちゃったりっていうのは往々にしてあると思うんだよね。

さいとう:組織内での折り合いをつけようとすると、大胆な変革は難しいよね。

みつぼり:だから僕は、まともなカリスマが必要論なんだよ。

さいとう:まともなカリスマっていねえから。

いの:みつぼりは理想のカリスマって誰かいるの?

みつぼり:まあそれこそ、結果がついてきて、かつ失点が付く前に辞めて逃げ切ったから、横浜DeNAベイスターズの池田さんはまともにカリスマやってたと思うよ

さいとう:球団弱いじゃん。

みつぼり:球団改革としては成功したから。球団弱いはこれからだから

さいとう:お前が言う、完璧なカリスマがいればいいっていうのは当たり前なんだよ。そいつがいればそれで済むんだから、そんなに楽なことはないよ。でも、それがいないからシステムが必要なんだよ。普通の組織にはいないんだよそんなの

みつぼり:そうか。あーなるほど、だから組織論が必要なんだ。いやでもさあ、組織論なんてこんなの上手に運用できる人なんていないよー。

 

【そろそろまとめましょうか】

いのが頼んでいたあんずサワーとあんこ巻きが運ばれてくる。

みつぼり:あんずサワーとあんこ巻きって、甘味処にいるババアか

さいとう:俺も、甘いのに甘いの注文してやがるって思ったけど、あえて言わなかったけどね。顔色で察してほしかった

みつぼり:あんずサワーを頼むっていう判断を尊重してあげたいと思ったんだ?

さいとう:あいつがそう言ってるならって。

いの:一度、あんずサワーを我慢してビールを頼んだ後悔があるから。

さいとう:消極的な姿勢を見せてしまったっていう

みつぼり:全部牟田口語録じゃねえかw そろそろまとめようぜ。

さいとう:失敗の本質とは。

みつぼり:あなたにとって、失敗の本質とは。

いの:何? 俺に聞いてんの?

さいとう:まあ、全員に聞くよ。

いの:なんだろう・・・現状を正しく分析するっていうのはさぁ、時としてすごい苦しいし、今までの自分が間違ってたっていうのが分かってしまうのは、自分に対する否定にもなるし。でも、とはいえ何も考えないというか、信じたいことだけを信じようとすると、その時は心の平穏が保たれるかもしれないけど、結局その場しのぎの平穏でしかないわけで。状況を正しく認識するというのは特に辛いけれども、でもそうして少しでも現実との錯誤を縮めていかないと、何においても成長ってないよなーと。情報を最大限収集して、その中で最適解を見つけていくっていうのは、組織でもそうだし個人レベルでもそうだし。現実と向き合うのは苦しいけどね。都合のいい話にばかり耳を傾けない。そういうことを思ったよ。んじゃあ次、みつぼり。

みつぼり:まぁ、さっきも言ったけど、結局歴史の失敗から学ぶことは大切だと思うし、有用なことのようにも見えるんだけど、馬鹿は死んでも治らないと言う言葉があるのと同じで、ここから学んだつもりになったとしても、結局は繰り返されると思うんですよ。戦争が、とかじゃなくって組織論としてってことね。今も起きてるだろうしこれから自分の身近でも起きるだろうし。どんなに学者が頭の良いことを言っても、人は愚かでしかないなーって。読み物としては優秀だけど。悲劇は繰り返しますよ、というのが読んだ感想かな。さいとうは?

さいとう: 失敗の本質っていうのは変化を恐れることかなと。俺自身変化するの苦手だからさ。

みつぼり:変わっていくこととかあんまり自発的にやらないよね。

さいとう:やらない。そういう意味で、いつまでも日本軍が、前の成功体験にしがみついて、組織としても個人レベルでも変化を恐れたのが1つ大きな失敗だったと思うし。と思ってはいるけれども、自分がそれを生かしていけるかというのは正直わからん。失敗の本質だけじゃなくって、いろんなところからエキスを抽出して、一定値を超えたときに人は変化をすることができるんじゃないかと思うので、その一要素として興味深く読めたと、そんな感じです。

いの:なるほど。うんうん、まとまったんじゃないでしょうか。ちなみに、ロクリンシャの失敗の本質としては、我々は作戦目的の統一ってのは図れているんでしょうかね。ブログの更新も滞っておりますが

みつぼり:いやー、図れてるでしょう。

さいとう:作戦目的って何? いのくん。

いの:作戦目的? だから、それが不透明だからこそ今のあり様なんじゃない?

みつぼり:そんなの、話したいこと話してブログに書いてネットでうぇーいってなることっしょ?

さいとう:(苦笑)

いの:牟田口の方がまだちゃんとしてるぞ。

さいとう:俺は目的としては、だべってるのをそのままにしておくのはもったいないから、記録に残して、後から読み返せたらいいかなっていう。

いの:それで書いてないってのはどういうことなのか。

さいとう:それは違う話だよ。それは、それはすまん。

いの:でも個人の努力だけの話じゃないと思うんだよね。何か、何かね。

みつぼり:大義が無い。

いの:グランドデザインがあればね、違うのかね。

 

以降、 今後について中身の薄い議論が続いていきますが、結局翌4月回では初の企画中止が発生、その後もグランドデザインが描けないまま泥沼の結成1年半を迎えるロクリンシャの活動を今後とも応援よろしくお願いします! 

 

(文責:いの)