ロク-リンシャ

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座談会:『絶対に見るべき最強の展覧会はこれだ!アートランナーが往く東京美術館マラソン2016秋』 ~結果発表~

美術館マラソン、いよいよ最終回!

ついに、2016年秋最強の展覧会が決まります。

2017年の正月に決まって何が悪い!

 

21時頃。アメ横の水タバコ専門店にて。

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初体験の水タバコに、しばし舌鼓を打つ一同。

アップルミントとココナッツバニラを注文。

感想は、「鼻の中がしっとりする」「いの君が吸ってると現地の中毒者みたい」「いの君蛇使いみたい」「いの君だけアヘンやってない?」などでした。

 

みつぼり:いの君、投票のルールをもう一度まとめてもらっていい?

いの:はい。えー、5つの展覧会に1位から5位までそれぞれ順位を付けていってください。得点は、1位が5点、2位が4点、3位が3点、4位が2点、5位が1点となります。合計得点が最も高い展覧会が、最強の展覧会です。

さいとう:その最強って概念がよく分からないけど。頭悪そうってのは分かるけど

いの:(無視して)じゃあまずは、さいとう君からランキング発表をどうぞ!

さいとう:はいはい・・・。

 

<さいとうのランキング>

5位(1点)鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館

コメント:非常にピンとこなかったね。

4位(2点)宇宙と芸術展(森美術館

コメント:あまりにも他の展覧会とレベルが落ちる。でも単体では笑える展示もあったし、体感系の展示は現代アートをよく知らない自分にとっては新鮮な部分もあった。流星刀は最高。

3位(3点)平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館

コメント:昔の人たちがひとつひとつ大事にしてきた仏像を、あれだけ一堂に会して好き勝手見られる優越感のような面白さ。絵画を見比べるのはなかなか難しいけど、仏像はそれができる。好みの子(薬師如来坐像)にも出会えました。

2位(4点)ゴッホゴーギャン展(東京都美術館

コメント:ゴッホの絵はやっぱり好き。音声ガイドを聴いていれば、もっと展覧会の世界観にのめり込めたのは間違いないので、もったいないことをしたなーという感じです。

1位(5点)ダリ展(国立新美術館

コメント:中二病的な妄想が湧いてくるのが楽しかったし、淫靡な世界観が好みだった。映像や宝石の展示もあって、マルチな活躍をしていたことが分かったのも面白かった。

 

<みつぼりのランキング>

5位(1点)宇宙と芸術展(森美術館

コメント:他の展覧会は、「ここが良かった」と言えるポイントがあったけど、これに関しては何も無かった。

4位(2点)平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館

コメント:単純に、他の展覧会に比べると展示数も少ない分、楽しみどころも少なかった。木彫りの作品に関しては特に、仏像さんのお顔立ちも魅力に欠けるところがあって、それが粗削りで味わい深いのかもしれないけど、それを含めて楽しめるほど、まだ仏像の見方がよく分からない。

3位(3点)ダリ展(国立新美術館

コメント:絵で表現しようとしてることが読み切れないし、絵そのものもあまり引っかかるところが無かった。これはもう好みの問題だけど。展覧会内でのダリの人物そのものへの踏み込みが少ないから、絵からすべて読み解いていくしかないのが辛かった。事前に人物像については予習が必要かもね。

2位(4点)ゴッホゴーギャン展(東京都美術館

コメント:母親の高校時代の友達が、美術館の館長の娘だったのもあって、その流れで家にゴッホゴーギャンの画集があったんすよね。それで慣れ親しんでたから、特にゴーギャンを生で見れたことの感動があった。やっぱり実際に見て迫力があって、素養が無くても楽しめるから、見ておいて損は無いんじゃないですかーってところで2位ですね。それと、1つ1つの絵にしっかり解説が書かれてたのも丁寧な展示だと思った。関係性云々ってところはあまり入り込めなかったかなー。

1位(5点)鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館

コメント:日本画ってほんと素晴らしいと思った! あれが当時支持されて、今もなお残っている理由に本当に感じ入ることができる展示だったというか。俺みたいに美術の素養が無くても、直感的に語りかけてくるものがあって、楽しかったですね。もう1回行ってもいいと思えた。美術館に行って、「一緒に行った人と共有できて、なんとなく楽しかった」くらいなら以前もあったけど、例えばライブに行った後の「すげえ気分良かったな!」ってのは、今まで美術館では感じたことが無くて。それが鈴木其一展はね、それに近いものがあったね。素晴らしいです。

 

<いののランキング>

5位(1点)平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館

コメント:あそこで仏像を見てもしょうがないと思った。現地の寺で、秘仏一斉公開としてやればいい話で、作品として東京に持ってこられても・・・という感じ。

4位(2点)宇宙と芸術展(森美術館

コメント:個々に見ていけば、光るものもある。とにかくコンセプトが全然ダメ。宇宙ってもっとワクワクするものじゃん。もっと俺はワクワクしたかったよ。流星刀は最高。

3位(3点)ダリ展(国立新美術館

コメント:もっとダリって面白い人だったはず。ダリを最大限に楽しむなら、エンターテイナーでありお騒がせ有名人だった彼の、人としての魅力について描き出すのが欠かせないのでは。作品だけが高尚に飾られても、どうしても片手落ち、消化不良感は否めない。

2位(4点)鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館

コメント:1位と迷ったけど、この位置で。今回一番発見があったのがこの展覧会。浮世絵と比べて敷居が高いと感じていた日本画が、こんなに面白いものだったとは! お堅いと感じていた日本画も、よくよく見るとバラエティ豊かだし表現も楽しくて、我々はすごく豊饒な文化を下地に今を生きてるんだなあという感慨がありました。

1位(5点)ゴッホゴーギャン展(東京都美術館

コメント: 最も心を動かされたという意味で1位。1人の人間としてのゴッホゴーギャンへの共感により、展覧会の世界にぐいぐい引き込まれていった。2人とも、上手くいかないことの方が圧倒的に多かった人生だろうけど、それでもこんな友人と出会えただけでも、だれが何と言おうと幸せだよねっていう。死ぬ間際に、「ロクなことがない人生だったけど、でもあいつとアルルで過ごした2か月間は確かに輝いてたなあ」って思えたのなら、それはゴッホゴーギャンにとっても、彼らの絵を見る我々にとってもある種の救いだし、誰かとこんな魂の繋がりを持ちたいって、みんなどこかで求めてるんじゃないの!? それでもって、共同生活が2か月で終わった後、ゴッホゴーギャンに送った手紙の破壊力ですよ。「私たちはお互い好き同士なのだから、またやり直せると思います」だって・・・関係性萌えの極致だよねぇ。もはや絵の感想じゃない。でも展覧会としては最高だ。

 

各自のランキングは以上。

それではついに、最終結果の発表です!

 

第5位 宇宙と芸術展(森美術館) 5点

第4位 平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館) 6点

第3位 鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館) 10点

第2位 ダリ展(国立新美術館) 11点

第1位 ゴッホゴーギャン展(東京都美術館) 13点

 

というわけで、2016年秋最強の展覧会は、ゴッホゴーギャン展(東京都美術館)に決まりました!!おめでとうございます!!

 

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さてさて、いかがでしたでしょうか。

芸術オンチ達の美術館マラソン、楽しんでいただけましたでしょうか。

個人的にはぜひ、2017年春頃にまた第2回をやってもいいと思ってるんですが、他の2人からは猛反対されています。 楽しいのに。このブログに触発されて、自分も美術館マラソンやったよという人がいたら、ぜひご一報ください。ブログにあげるのなら、展覧会の会期中にアップするのがおススメです。

ところで、我々ロクリンシャは、元々は大学の文芸サークル仲間が集まって結成されています。小説も、音楽も、絵画も、なんでもそうですが、アウトプットされるものは違えど、根源的な表現が生まれる瞬間というのはそう変わらないのではないかと思います。チャネリング霊媒じゃないけど、何か(例えばそれは神様だったり、言葉では掴めない何かだったり)に触れよう、近づこうとした時、表現ってやつが生まれるのだと思います。その表現は時に日本画の水や動物の躍動感であり、印象派の心象風景を描き出そうとする論理であり、意識の外に目を向けたシュルレアリストの挑戦であり、隕石を刀に加工しようとする閃きとロマンであり、一本の木と向き合う彫り師の祈りだったりするのです。たぶん。今回の5つの展覧会も、異なる時代、異なる国、異なるジャンルであれ、芸術を通して手を伸ばそうとした向こう側にある、言葉にならない「何か」は、実は5つともそう変わらない「何か」だったのではないでしょうか。何百年、何千年先の人々も、表現の形は変わっていっても、きっとその「何か」に手を伸ばし続けているのだろうなと思うと、まったく人間ってやつはという気持ちになります。やれやれです。

そういえば、当初の問題提起としての、『上手い・ヘタ、かっこいい・ダサい、シコれる・シコれない』という「ゆりえ式」(※この単純明快な、本能だけに従った評価方法をロクリンシャでは「ゆりえ式」と呼んでいます。この漫画が嫌いだ!2016で扱った『お嬢と東雲』を擁護する際に、「でもこの場面のお嬢可愛いよ」という全く脳みそを使っていないセリフが僕の口から連発されたことから、作者の奈院ゆりえ先生にちなんで命名されました)な見方から脱却し、知性的な目を養うことは果たしてできたのでしょうか。結果としては、やっぱりまだまだ「ゆりえ式」からの卒業は難しかったですね。でもだからと言って、積み重ねられたものがある芸術というものに対して、きちんと学問を修めなければ、「好き」も「嫌い」も言えず身動きが取れなくなるのもまた違うと思うんです。だったら「ゆりえ式」で物を見るのも案外悪くないし、そうやって今回、自分たちなりに展覧会を楽しめたじゃないか、それでいいんじゃないかと、そう思う次第です。

 

最後に、みつぼり君の一言でお別れです。

 

みつぼり:これ、座談会って言うより、ただ3人で美術館を回った楽しい祝日じゃねえの?

 

(文責:いの)