ロク-リンシャ

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座談会:『絶対に見るべき最強の展覧会はこれだ!アートランナーが往く東京美術館マラソン2016秋』 ~ゴッホとゴーギャン展編~

企画の趣旨はイントロダクション参照。
美術館マラソン、ついに終着。

エントリーNo.5 『ゴッホゴーギャン展』(東京都美術館

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フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)とポール・ゴーギャン(1848-1903)。19世紀末に活躍し、今なお世界中の人々に愛されてやまないこの二人の画家に焦点を当てた、日本初となる展覧会を開催します。
オランダの牧師の家庭に育ったファン・ゴッホと南米ペルーで幼年期を過ごしたゴーギャンは、生い立ちや性格だけではなく、絵画表現も大きく異なります。ファン・ゴッホは現実の世界から着想を得て、力強い筆触と鮮やかな色彩による作品を生み出し、ゴーギャンは、装飾的な線と色面を用いて、目には見えない世界をも絵画に表現しようとしました。1888年、彼らは南仏アルルで約2カ月の共同生活を送ります。ともに制作し、時には激しい議論を重ねながら刺激を与え合いました。
本展は、ファン・ゴッホゴーギャンの初期から晩年にわたる油彩画約50点を含む約60点を展示します。二人の画家の特徴を浮き彫りにし、その関係性と芸術性に光を当てます。

公式サイトより)

16時30分頃、展覧会に入場。

さいとう:音声ガイド、声優の杉田智和小野大輔がやってるんだ。

みつぼり:完全にターゲット狙いすましてるよね。

いの:杉田がゴーギャン役、小野Dがゴッホなんだね。

みつぼり:しっかりマーケティングしてきてるねー。

さいとう:やっぱりゴッホゴーギャンってのは、その界隈では鉄板のカップリングなのかね。

いの:Pixivで確認したら、2、3枚くらいしかカップリングのイラストは無かったけど。

さいとう:確認してるのかよ。それは何、ゴッホの切り落とした耳をペロペロするゴーギャンみたいな。

いの:そこまでアバンギャルドではなかったよ(笑) アルルの麦畑で2人で寝そべってた。今回の展覧会は、その2人のアルルでの共同生活時代が主軸にあるらしいから、色々と妄想が捗りそうですな。

 

~1時間ほどで展覧会を見終え、アメ横に向かう一行~

 

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いの:いやー、もう夜ですよ。ほんとにね、1日いましたよ美術館に。開館から閉館まで!

みつぼり:自分の人生において、こんな1日を過ごす日が来るとは思わなかったよ。

さいとう:やれば出来るもんですねえ。

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 18時。アメ横の音楽のボリュームがでかい串カツ屋にて。

 

さいとう:ほい、じゃあ『ゴッホゴーギャン展』感想戦いきましょうか。いのから。

みつぼり:いの君、BGMうるさいから声張らないと聞こえないよ。

いの:えーっと、じゃあまず一言。めっちゃ良かったんじゃないですか!?

さいとう:ほう。

いの:それこそ有名なさ、ゴッホで言えば「ひまわり」とかさ、ゴーギャンで言えば「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」みたいな、超メジャータイトルは無いんだけどさ、じゃあ何が良いのかと言えば、やっぱりゴッホゴーギャンの2人の関係を、それぞれの作品を通して浮かび上がらせるっていう展覧会のコンセプトが、もうばっちりキマってたんじゃないでしょうか。

みつぼり:ふむふむ。

いの:一番最後に展示されてたゴーギャンの絵、ここでそれまで散りばめられていた物語が一気に集約されていくあの感じ、お見事としか言いようがない。だってもうさあ、ゴッホが死んで11年後にさ、わざわざフランスからひまわりの種を取り寄せて育てて、それを椅子に乗せてゴッホに見立てて描く(「肘掛け椅子のひまわり」)とかさぁ!

さいとう:あれはおいしいネタだよなぁ。

いの:おいしいでしょう! しかも、共同生活時代にゴッホが描いた「ゴーギャンの椅子」って作品がこの伏線になってるわけですよね! いやー見事な伏線回収ですよ。「ゴーギャンの椅子」は、椅子の上に置かれたろうそくと本をゴーギャンに見立てて描いた作品だけど。「肘掛け椅子のひまわり」と「ゴーギャンの椅子」、この2点を持ってこれることが決まった時の、企画者のガッツポーズが俺には見えたね。

みつぼり:いの君、そういうロマンチックなものに弱いもんね。

いの:技術的なところは分からないからねー。そういう物語性に頼ってしまうところはある。それでもゴッホの絵は単体で見てもまだ分かりやすいんだけど、ゴーギャンってだいぶ難解じゃないですか。

さいとう:そうだね。

いの:でも、ゴーギャンというキャラクターを理解した時、そんなゴーギャンが描いた絵だと思うと、理解はできなくてもなんとなく愛おしく感じられてくるんだよね。その絵を描いてる時のゴッホとのやりとりとか妄想したり。

みつぼり:腐女子かお前は。

いの:ゴーギャンツンデレゴッホヤンデレなんだよね。ゴッホは「こんなに好きなのになんで分かってくれないの!?」って感じだし、ゴーギャンはつれない態度を取ってるけどなんだかんだでゴッホのこと大好きなんだよね・・・。

さいとう:妄想膨らみすぎだろ。なに、音声ガイドでも杉田と小野Dでそんなイチャコラやってんの?

いの:そんなにあからさまではないけど(笑) ちゃんと展覧会の音声ガイドから逸脱してないけど、でもそれを聴いた俺の中の腐女子はそう言ってる。だからねー、そんなわけで完全に物語の中に引き込まれてたから、最後の絵の前で俺、ちょっとだけ泣いてた。

さいとう:まじか(笑)

いの:昔、三谷幸喜の『コンフィダント・絆』っていうゴッホゴーギャンの出る舞台を観て、それで余計にイメージが膨らんでる部分もあるかもしれないけどね。まあ、大きな目玉となる作品があるわけではない展覧会のアプローチとして、物語性を押し出して、展示構成から音声ガイドまで、きっちり筋の通ったコンセプトを貫き通したというのは、展覧会の作りのひとつの答えとして100点満点に近いんじゃないでしょうか。良かった。以上です。

さいとう:絶賛ですな。俺も良かった。でも俺は音声ガイド買ってなくて、途中でこれは音声ガイドがあった方が絶対に面白いし入り込めるってことに気づいてさ。買おうかとも考えたんだけど、結構進んじゃってたから戻るのが面倒で結局買わなかったんだけどね。見終わっていのの話聞いたら、やっぱり聞けばよかったと思った。実際ゴーギャンの人物像とか、いのが言うほど見えてきてないからさ。だから俺のミスで楽しみきれなかったのは心残りかな。あとはねー、ゴッホの絵は実物見るとやっぱりいいねー。

いの:厚塗りで絵の具が浮き出してる質感がいいよね。

さいとう:サインもね、塗りに沿って書いてあったりするのよ。

みつぼり:そんな細かいところまで見てたんだ。

さいとう:そうそう。サインひとつとっても流れを意識して書いてるんだなって気づけて、楽しかったねー。ゴーギャンはちょっとまだ、よく分からない。タヒチに惹かれてるところとかも。

いの:音声ガイドで言ってたけど、ゴーギャンは生まれがペルーなんだって。

さいとう:ああー、なるほどね。

いの:だからああいう、南国的な世界観、未開の地に住む人々にシンパシーを感じるところがあるんじゃないかね。

さいとう:そのあたりの話も、掘り下げていくと面白そうだなとは思うんだけどね。でも今回はあくまでゴッホゴーギャンが主題だから、タヒチゴーギャンタヒチとフランスみたいな話は軽めでいいのかな。まあ、とにかく本物のゴッホの絵を見れたのは良かったという、そんな感じです。

みつぼり:なるほど。じゃあ最後は僕ですね。結論から言うと、楽しかったことは楽しかったです。でも、ゴッホは僕あんまり得意じゃないんだと思う。芸術の作品なんだろうなってのは分かるんだけど、あんまり入ってこなくて、どっちかというとゴーギャンの方が良かったですね。背景とかは分かんないんだけど、タヒチのチョコレートブラックの肌の人たちをモチーフにしてるってのはすごく好きでさ。最後の方に展示されてた「タヒチの3人」がすごく良くて、ずーっと座って眺めてた。

いの:あれは良いよね。

みつぼり:フランスで育った西洋人の画家さんが、自分の中のモチーフを求めて、南の島のタヒチに行って、死の間際はさらに原始的なものを求めて、もっとよく分かんない島に行ってるわけでしょ? そういうものを求めて生きた芸術家の流れが追えたのはすごく良くて、総合的には楽しく見れましたね。

いの:南国に自分の中の答えを求めるみたいなのはさ、みつぼり君も離島に行きたいとか、四国で農業やりたいとか言ってるけどさ、そういうところでシンパシーを感じるものが少なからずあるのかな。

みつぼり:かもしれない。昔からそうなんだけど、都会的なものを享受はしていても、本質的には人間も結局は動物なんだから、最終的に追い求めるものは風景とか自然とか、人知を超えたものの中にしかないでしょというのが持論としてあるからねー。

さいとう:なるほどね。ゴッホはどう感じた?

みつぼり:ゴッホに関しては、自分の中でピンときてない部分もあるけど、その絵に込められてる意図とか背景とか考えるよりも、これはこういうものだなーって、その絵だけ見て自分がどう思ったかって時に、力強い筆致でメリハリが効いてて楽しいなあとか、そういうものはやっぱりあったよね。

 

そんなわけで、無事すべての展覧会を制覇したロクリンシャ。

果たして激戦の末、最強の座を手にするのはどの展覧会なのか。

次回はついに最終投票です! お楽しみに!

 

※『ゴッホゴーギャン展』は、東京都美術館ではすでに閉幕しましたが、2017年1月3日からは愛知県美術館でスタートします。

 

(文責:いの)