ロクリンシャ

三柱の人狼とそのなかま達による体当たり座談会系集団の活動報告(公式HP:rokurinsya.wixsite.com/rokurinsya & 公式Twitter:https://twitter.com/rokurinsya007)

ロクリンシャ、それは三柱の人狼とそのなかま達による体当たり座談会系集団の活動報告
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文学フリマ全力レビュー!!!!!!!

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こんにちは! みつぼりです!

第7回目の座談会はやや番外編です。11/23に開催された第二十三回文学フリマ東京(通称:文フリ)という文芸作品専門の同人イベントに3人で行って参りましたので、今回はそれをレビュります。

 

ちなみに文フリの概略は以下の通り

  • 文学フリマは誰もが参加できる文学作品の展示即売会です。既成の文壇や文芸誌の枠にとらわれずに文学作品を発表できる場を提供すること、作り手や読者が直接向き合あって交流できる場をつくることを目的とし、プロ・アマといった垣根も取り払ってすべての人が文学の担い手となれるイベントとして開催されてきました。2002年から東京を中心に開催されてきた文学フリマですが、少しずつ日本の各地域にその輪をひろげてきました。このたび文学フリマ百都市構想を立ち上げ、全国各地に文学の種を蒔き、芽を育て、花を咲かせることを目指します。(文学フリマ公式ホームページより)

 

 平たく言ってしまえば、”文芸作品のみのコミケ”という感じの内容・規模感でございます。出展ジャンルも小説にはじまり、詩歌、評論、エッセイなど幅広く、売られている品の出来も、印刷用紙をホチキスで止めただけのシンプルなものから、表紙イラストをプロが描き、印刷所に印刷・製本を頼んでいるような本格的な同人誌まで、さまざまでございます。

 

 ロクリンシャの3人は、学生時代にサークル参加をしていたことがあり、今回はおよそ5年ぶりに今度は純粋な一般客としての参加という感じでございます。

 

 今回は3人が一日かけて文フリの会場をじっくり周り、その中で感じた文学フリマの印象、これまでとこれから、買った冊子のレビューなどをざっくばらんに話した座談会の様子を記事にしております。

 文フリを知ってた人も知らない人も、興味がある人もない人も、行ったことがある人もない人も、漏れなく興味深い内容になっておりますのでどうぞご一読くださいませませ。

 

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2016/11/23 18:10 浜松町にあるおやじのウザがらみが心地良い居酒屋にて 

 

みつぼり:じゃあまあ一人ずつ購入したものを紹介していきましょうよ。まずいのくんから。

 

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一冊目【紳士靴九話】

いの:紳士靴についての本らしいです。会場で実際に靴を磨きながら同人誌の販促をしてるお兄さんに惹かれて立ち寄って、とても靴が好きな方ということで。仕事でビジネスシューズとか履くけど、全然ブランドとかもわからないし、何かそういったものを体系的に知るきっかけになればなあって感じで。

さいとう:内容はどんな感じ?

いの:靴のイラストが描いてあって、紹介だったり、靴についてのエッセイであったり・・・っていう、商業のルートに乗ってこないトガった内容が面白そうだなあと。知っといて損になる知識じゃないし。ちょっとしたトリビアにもなるしね。

さいとう:まあ知っといて損になる知識ってないけどな。

 

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二冊目【旅貯の楽しみスタート編】

いの:旅貯、っていうのかな。これもさっきの靴と同じ「その謎のこだわりどっから来てんのかシリーズ」第二弾というか。

みつぼり:これ見た見た。旅行で行った先の郵便局でお金を振り込むと、そこの郵便局名だか支店番号だかが通帳に印字されるらしくて、それを旅行の楽しみにしませんかっていう内容だよね。

さいとう:ホントにマニアックな中身だな。

いの:なんか乗り鉄界の有名人が「こういう楽しみ方もありますよ」っていう紹介をしたらしいよ。著者の方は、旅行先の郵便局で地元の人の会話を聞いているのが、知らない土地に来たって感じで楽しいんだってさ。あと同じ人なんだけど、旅行先で住民票をとるのも面白いらしくてそれをまとめた同人誌もあったよ。

みつぼり:どっちも市販の本ではまとめられない、ってかまとめても仕方ない内容だね。だからこその同人誌なのかもしれないし。

 

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三冊目【SEXY ORIVER Vol.3】

いの:映画に関する評論です。ツイッターでフォローしている方が記事を寄稿しているんですよ。

さいとう:(パラパラめくってから)シンゴジラの記事が多いっすね。あとブレードランナー。この2タイトル以外の名前が見当たらないんだけど大丈夫?

いの:ちなみに俺がフォローしている方はチリ映画についての記事を書いてる。透明ランナーさんって人。

 

 

四冊目?【サークル名:不明】

いの:最後はカードゲームなんですけど・・・架空の恋人が死んだ、その遺書を自分で作れ、って内容なんだけど。

みつぼり:みつぼり:そんなの買ってどうしたの? 作った人は心が疲れてるの?

いの:要は好きな人の遺書だったらどういうものが作られてたら良いか、っていうのを手軽に考えてそれを楽しむんだと思うんだけど。

みつぼり:「だれが/どこで/いつ/何をした」のゲームみたいに、上の句と下の句にわかれたカードをそれぞれ引いて、ランダムに組み合わせてできた言葉を楽しむっていうゲームですな。

さいとう:まあやってみましょうよ。ハイ、じゃあいのくんの架空の彼女が死んだということで、一枚づつ引いてみて?

いの:「知らない人と笑顔で、写真映るだなんて、すごいね。すごい笑顔の持ち主なのね。すぐ横の知らない人に顔向けないなんて笑顔で」「いい水」

みつぼり:……?

さいとう:(失笑)

いの:いやなんかたぶんこれ遊び方ちがう気が・・・。

みつぼり:いい、いい。だいたい見えた。

さいとう:おつかれさまでーす。

 

次はさいとうくんが買ったもの。

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一冊目【よくわかるエアコン配管観察】

さいとう:エアコンの配管のスゴいやつをいっぱいのせている冊子。これはニッチな業界シリーズというか、俺が関わっているこの業界によくぞ日を当ててくれた!っていうか。

みつぼり:ここに載ってる変な配管って実際どういうことなの? 工事のミス? 手抜き工事?

さいとう:明らかな手抜きですよほとんど。専門業者の目から見たときに本来あり得ないんだけど、ただまあ金銭的な問題とか、実際工事をする上で仕方ないこととかあったかもしれないし、それを推理するのもちょっと面白い。

 

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二冊目【あちこさん③】

さいとう:社会人の作者さんのルポ漫画。アフタヌーンとかで連載してそう。ちょっと生きづらい女の人のレポというか。ご結婚もされているみたいです。

みつぼり:まあありがちだけど面白そうではある。

いの:300円ならコスパは良い気がする。

 

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三冊目【新白山文学】

さいとう:俺らが所属していた文芸サークルの後継サークルの冊子。絶対読んで、格の違いを感じてやる。 

みつぼり:そういうとこ性格でるよね。僕は絶対ちゃんと読まない気がしたから買わなかったよ。

 

次はみつぼりが買ったもの。

 

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一冊目

みつぼり:まずは緑のルーペ『青春のアフター』3巻。

さいとう:うるせえよお前マジで。

みつぼり:朝、いのくんを待ってる時に浜松町の文教堂で買いました。3巻買う程度には面白い。

いの:これ面白いよね。

 

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二冊目【mint vol.1】

さいとう:あー、しがらみ系のやつな。読みたくて買ったの?

みつぼり:いやでもまあ純粋に読みたい気持ちの方が強いですよ。講談社BOX系の作家さんが集まって同人で好きに書いてる雑誌ですね。岩城裕明さんっていう作家さんの小説が好きで、その人の文章が読みたかったからねー。あと円山まどかさんの文章も読みたかった。

 

三冊目【サークル名不明。なんか80年代フリークの女子のゆるマンガ】

みつぼり:完全に惰性というか、流されて買ってしまったよ。ちょっと割高感があるのは否めない。最近『スローモーションをもう一度』っていう80年代にのめり込んでいる高校生を題材にした漫画をイノと面白いって話し合ってて、ちょっとその影響もある。

いの:珍しく紙の本でマンガ買っちゃったからね。面白い漫画だった。

 

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四冊目【2016横浜観戦記】

みつぼり:横浜ベイスターズのシーズンシートを買ってるファンの方が、全試合のスコアリング・成績・勝ち投手・選評とかの細かいデータを一試合ごとに細かーーくつけたその記録集。すごい熱だよね。値段の付け方も横浜ファンの場合は好きな選手の背番号×10円っていうところに粋を感じたよね。

さいとう:こいつが迷ってるのを俺が煽りに煽って買わせた。ホント細かいよな、ジャイアンツでやっててくれたら買うか迷ったわ。すげえよこれ。

 

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五冊目【宗教とアニメーション】

みつぼり:宗教のアニメーションについてをまとめた考察本。キリスト教とか仏教とか、あと創価学会のアニメとかこんなあるんだ!とか思って。体系的にこういうジャンルを俯瞰できるってのは熱いよね。宗教の教えに関する知識を持たない人達に向けて教えを広めるための方法として、歌とか絵画とか伝わりやすいものにしてきたんだと思うんだけど、それが現代においてはアニメーションになってるんだなあって考えて読むと意義深い。

さいとう:着眼点は面白いな。

いの:意外と幸福の科学の映画最新作『UFO学園の秘密』は評価高いらしいですよ。

 

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六冊目【AV業界の基礎知識 総集編】

みつぼり:AVのプロダクションに勤めてる人が、辞めてからAV撮影の一日の流れみたいなものを体系的にまとめた本が欲しいと感じて自分で作ったらしい。 内部の人間じゃないとわからない、かなりつっこんだ情報知識が満載で面白そう。

さいとう:この人コミケにも出してるらしいからね。

 

 

【5年ぶりに参加した久々の文フリの印象】

みつぼり:で、どうでした? 文学フリマ

いの:途中から飽きた。

さいとう:そうだな~。ものすごい疲労感があるっていうか、つまり目新しいものがなんもなかった。サークル数が800に増えたからといって、なにか変わるものじゃねえな。その他有象無象が増えました、ってだけというか。

いの:確かに。5年前と変わってない。というかむしろ、以前ブースを出してたノンポリ天皇みたくトガったサークルがあんまりなかったような気がした。

さいとう:参加者みんなに言えるんだけど、声が小さいよな。会話のキャッチボールが高確率で成立しねえっていうのは、ねえ。

みつぼり:出展者が僕らを含めた客に対して絡みづらさとかを感じてのかもしれないけど、それ以上にコミュ力不足はいろんな人から感じた。まあ文芸同人界隈だから仕方ないのかもしれないけどね。

さいとう:あとなんていうかすごい自給自足が出来てる界隈だよな。悪い意味でというか、内輪で循環が完成しきっているというか。

みつぼり:参加者A「面白そうですね^^ 買います^^」参加者B「ありがとうございます^^ あ、そちらのサークルさんのも面白そうですね^^ 買います^^」みたいなね。

いの:外から入ってくるお客さんがあんまりいなかったよね。

みつぼり:客も参加者も結局身内以外はいないってか、確かに5年前よりサークルはめちゃめちゃ増えたけど、たぶん身内の裾野が広がった結果の800サークルでしょこれ?

さいとう:まあそれだけ発表したい奴はいるってことだよな。それだけ読みたい奴がいるかは別として。

いの:俺らがサークル参加してた5年前はさ、もうちょっと全体の活気があった気がする。主催者がトークショーとか企画してたり。今回はそういうものもなかったし。同人界隈における文学っていうものの全体の流れをこうしていこう、みたいな心意気もどっかいっちゃったような感じで。全体のグルーヴ感もなく・・・。本当に各々が思い思いのものを販売するただの同人誌即売会の場になってしまっているというか。

さいとう:っていうかね、小説家になろう」とコラボしちゃダメでしょ。文学フリマが。そもそも、そういうところと遠くにいようっていう集団じゃないの? 「なろう」はコミケに任せておけばいいじゃん、って。

 

【話は繰り返しますが】

いの:本当にさあ、初期の頃はもっとごった煮感があった気はするよねえ。

みつぼり:今日はプロの作家というか、結構たくさん商業で書いてる作家もサークルで出展してたよね。腹括って商業で勝負しろや!ってちょっと思った。

いの:う~ん、編集さんとかに口出されないでのびのびやれたりするんじゃないの? もしくは同人でしか書けない作品があるとかさあ。

さいとう:それかプロって肩書きで文フリで無双したいとかな。でもその割にはコミケみたいな圧倒的なサークルって無かったよな。

みつぼり:奥の壁サーとかむしろ割食ってる感すらあったよね。小島アジコさんのところとか。

さいとう:あと、まーーどいつもこいつもラノベ書きてえのな!

みつぼり:個人的にはもっとみんなAVの人のサークルみたいなことやって欲しいんだけどね。

さいとう:そうそうそう。ってか、サークル参加しないで買いに来る人が同人に求めるのってそういう本じゃん。

みつぼり:「そんなおもしれえマニアックなことやってんの!?」っていうね。エアコンの配管の本とかみたいな。そういう知らなかった面白いこととかを本にして人に伝える謎の熱意みたいなのを、各サークルからもっともっと感じたかった。

さいとう:冊子は買わなかったけど見てて面白かったサークルで言うと、グルジア歴史小説とか、旧日本軍がどうのって本とか、あと幻冬舎に騙された!っていう自費出版の失敗実体験記(?)の冊子を配ってる人とか、闇が深そうでよかった。カラーの冊子をフリーペーパーとしてブン投げてる潔さに拍手を送りたい。

いの:怒りっていうのはひとつの衝動なんだねえ。あとね、本作り以外のところの話もすると、呼び込みとかも以前の方が激しかった気がする。

さいとう:その辺は800サークル集まって、2フロアになって薄まったのかもしれないけどな。だからそういう意味では懐かしいよな、ノンポリ天皇とか。取り巻きみたいなのがたくさんいて、「キチガイ小説売ってま~す」みたいなノリとかさ。

いの:俺たちが知ってる文フリはそこで終わってたのかもね。

 

 【購入する側になってみて感じた買うことの難しさ】

さいとう:あと思ったんだけど、「大学のサークル」っていう集団はあの空間だと結構上位のステータスだと思うんだよね。買ってもらえる。

みつぼり:お墨付きというか、属性がくっついてる感じはあるよね。バックグラウンドがわかるから読むほうも読みやすい。俺らの時にもいたけど、その学校の卒業生は気にかけてくれるし、今の学生ってこんなもの書くんだっていうフックで買う人もいるかもしれないし。

いの:逆にそういうサークルでもないとさ、なにかしらのコンセプトをしっかり打ちださない限り、本当に得体のしれない集団としかみれないよね。

さいとう:っていうか本当にそういう集団多かったよな。400サークルくらいはそれだった気がする。

いの:小説系のサークルはだいたいそんな感じになっちゃってるよね。

みつぼり:だから正直買いようがないって感じがあった。なにを手がかりに買ってよいやら。

さいとう:コミケと違って文芸の即売会って難しいよな。「お手にとってご覧ください」ってみんな言うけどさ、パッと中見て面白いかどうかなんて正直わかんねえよ。

みつぼり:いやもうホントその通りだわ。判断がつかないから正直物の言いようがなくて。

いの:表紙かわいいですね、とかそんなことくらいしか言えないよね。

さいとう:あと運営はサークルの前にいすを設置してくれ。マンガはパラ読みでいいけど、小説なんて立ってパラっと読んだって正直良さなんかわかんねえよ。コミケスタイルを踏襲する意味なんかなんもないんだから。文学フリマって銘打ってんだったら、文芸を選んで買うのにいいやり方を考えろやって話ですよ。

いの:その為に見本誌コーナーがあるんだけど、ブースから場所も遠いし、ブースじゃないとない品物も結構あるからね。それはいいアイデアかもね。

さいとう:あとブレスレットとか売ってんじゃねえよ。なんか文学に関係あんの?

みつぼり:それはそっとしておいてあげよう?

 

 【ロクリンシャとして自分たちも文フリに参加してみたい?】

さいとう:俺は自分の小説があの場で買ってもらえる自信は全くない。

いの:自由な感じで書いて買ってもらえるのは、学生かプロもしくはそれに近い人たちだけなんじゃないかなあ。

さいとう:極端な話だけど、例えばいま売れてる作家の・・・例えば東野圭吾?が、名前伏せて売り子雇って冊子を販売したとして、申し訳ないんだけど大して売れないと思うんだよね。立ち読みで1分か2分間しか手にとってくれないんだったらさ、結局のところ小説ってそのくらい掴めないものだとおもうんだよね。

いの:まあ確かに相当独創的な文章を書く作家でもなきゃそうなるだろうね。

さいとう:そういう場に意味はあるの?って話なんですよね。

いの:婚活の体験を小説に仕立てた本を販売してたサークルとかあったけど、アマチュアなら体験小説よりも普通にルポタージュにしてくれた方がまだ気になるわって思った。

さいとう:そう、そのルポタージュを読みたいってのはそれでいいんだけど、じゃあルポを書いて売ったとして、果たしてそれって「文学」フリマなのかな、っていうね。すげー難しいよね。やろうとしてることが。

いの:そうだねえ。うーん、どうやったらサークル参加して売れると思う?

さいとう:俺はピクシブでテキトーに良い絵師を探して、2万でも3万でも払って表紙を描いてもらう以外に手はないと思う。やりゃあ絶対売れるから!

みつぼり:買う方も選ぶ基準がわかりやすくはなるよね。

さいとう:大学生という肩書きを失った俺たちにとってはそれしか手がない。俺らを美少女化したキャラを表紙に描いてもらえばたぶん飛ぶように売れるぞ。いのは病弱なメンヘラ、みつぼりは・・・なんかうっとおしい感じの女。

みつぼり:さいとうくんはそのまま斑目晴信にすればいいね。

さいとう:じゃあロクリンシャって俺ハーレムじゃん!

いの:あと他の案として、紹介のフリーペーパーを作るっていうのはいいと思うんだよね。例えばこの座談会の内容をまとめた冊子を作るとしたら、各回の内容が紙一枚でわかるようなあらすじをまとめたペーパーとかね。

みつぼり:それいいね。冊子を読んでもらうんじゃなくて、冊子の内容を立ち読みレベルですぐ理解してもらえるってのはデカいね。

さいとう:あとちょっと俺が考えたのは、文フリ始まった瞬間に「完売御礼!」って札出しておくって手な。そんでフリーペーパーだけ配りまくんの。

いの:なんで?

さいとう:え? 「完売御礼!」って書いてあるサークルのフリーペーパーって欲しくならない? 「すいません全部売れちゃいまして~フリーペーパーだけなんですけどお~」って言いながら配りまくればめちゃくちゃ持ってってくれそうじゃない?

みつぼり:すげえ汚いマーケティング手法だな。

いの:ちょっと話がずれるかもしれないんだけどもうひとつ。実際に回ってみて思ったんだけどさ、なんか袋売ろうよ。紙袋とかスーパーの袋とかでいいからさ。

みつぼり:タダでくれるのが一番だけど、確かに売ってくれれば助かるわ。

いの:渡されまくったフリペとかの入れ物がなくて困ったから結局近くのローソンで紙袋買っちゃったもん。たぶん他の客たちも欲しがってたよ。

みつぼり:あとこれも回ってみて思ったんだけど、回る前は有料冊子よりも一人でも多くの人に手にとって貰いたいし、儲け度外視にして無料冊子にしてバラまくって方がいいんじゃないかなーって思ってたんだけど、やっぱ金出して買って貰わないとダメだな。

さいとう:(自分たちの冊子の)価値が図れないよな。

みつぼり:客として参加した今の俺らとかそうだと思うんだけど、金出して買ったものに関してはちゃんと読もうって意思があるけど、無料で配られて受け取ってしまった有象無象の冊子に関しては、悪いけど絶対まともには読まないと思うんだよね。

いの:100円でもいいからお金は払わせるべきだよねー。

みつぼり:それをこじらせると「言い値で売ります!」ってなるんだけど、正直買い手からするとそれってちょっとめんどくさいから、ちゃんと自分らで価値を図ってこっちサイドで買いやすい値段設定をしてあげるのが正解だわ。難しいけどね。ちなみになんだけど、サークル参加はしたい?

いの:俺はしたい。

さいとう:まあ俺も一回くらいはしてもいいかなあとは思うな。座談会のまとめ冊子だとして、もうちょいストック溜めてからだけどな。

いの:どうせやるんなら座談会だけじゃなくてなんか他にも企画を出していきたいけどね。

みつぼり:この次点で過半数だから、じゃあそのうち考えてみましょう。

 

【文フリはいろいろな人種のるつぼ】

さいとう:まあでも結構ねー、なんかお前マジか、みたいな人が冊子売ってる光景があちこちにあって、あれはねー。救いがない感じがしたなあ。冗談だろ?っていう、「お前、ココで同人誌売っててどうすんの?」みたいなねー。

いの:え、それどういう意味?笑

みつぼり:まあ確かになんの救いもない光景は散見されたよね。もうやめときなよ、みたいなね。言葉にしづらいんだけど、たぶんどこにも誰にも届いてないことをあそこでやってるなあって印象をちょいちょい受けた。

さいとう:たぶん、あれを地獄って呼ぶんだと思うよ。そんな闇金ウシジマくんみたいな現実見せんじゃねえよって思った。

いの:それは・・・その、そっとしておいてあげようよ。人様の自由じゃないですか。なにかしら世の中との繋がりを求めてたりするんじゃないかなあ。

さいとう:いや、前世でなにかやったんだと思うよ。その結果、たぶんあの地獄に落とされてるんだと思うけどね俺は。

みつぼり:償いなんだね。そう考えると不思議と合点がいくねえ。

 

文学フリマの今後】

いの:どうなるんだろうね。文学フリマって場がなくなることはないんだろうけど。

みつぼり:いやむしろ広がってくでしょ。

いの:サークル数が増えてるだけじゃなくて、この数年で全国各地で文フリin○○みたいな感じで地方開催されてるみたいですよ。

さいとう:発表したい奴は無限にいるからね。夢だから、書いてる人にとっての。自分の作品を製本して誰かに買って読んでもらうっていうのは。

いの:群馬出身民からすると、正直文学フリマin前橋とか100サークルも集まるのか?とか思っちゃうけどね。

みつぼり:東京から遠征で参加する人がたくさんいるんだろうから全然集まるでしょ。だってたぶん第一目標は「前橋の人たちに面白い作品を届ける」ってよりも「前橋の文フリで活動している同人界隈のサークルさん達と交流を深める」って感じだろうから、たぶん極論どこでもやれるでしょ。

いの:あー、そういう側面があるのかなあ。

みつぼり:地方での文フリ開催っていうことから読み取れる意味として、文フリが「文芸創作をしている人たちの交流の場」っていうところに帰結していってるのかなーって感じがする。逆にそれがなかったら、地方開催を草の根でやってく意味ってあんまりよくわかんないっていうか。

いの:うん。

みつぼり:おそらく文フリは、こんな面白い同人誌を俺達は作ってまっせ!って外に向かって開いていくコミケ的な場じゃなくて、例えば『アイカツ!』のオンリーイベントみたいに、それを好きな人が一日その空間に押し込められることによって交流が生まれたり深まったりするオンイベ的な場として機能しているんじゃないかって思うんだよね。文フリを例えばコミケとか、あるいは出版業界でいうところの「本屋大賞」みたいなお祭りにして外に広げていくっていうよりも、俺らの面白いものを俺らだけで回していくっていうところに移行していってるのかなーってのをすごく感じた。

さいとう:確かになあ。以前感じてた文フリとのギャップはその辺にあるのかもしれないな。

みつぼり:なんかちょっと思い出補正がかかってるのかもしれないけど、昔はもうちょっとみんなで面白いことしていこうぜみたいな空気というか一体感があったと思ったんだけどね。もう今は惰性で続けてるサークルもかなりあった気がする。まあある程度は仕方ないんだけどね。腐してますけどこの辺はたぶんいいとか悪いとかじゃなないですよ。

 

【最後に・・・】

みつぼり:じゃあみんなそれぞれ言いたいこと言ったし、最後に各々の『ミス文フリ』を発表して締める?

いの:いいけど居酒屋じゃなくて、どうせなら会場で教えて欲しかったわ。

さいとう:写真とか撮らせてもらえば良かったな。今これなんの確認のしようもないから言うだけだよ。じゃあ俺は、C-××のブースの子が一番かわいかったと思う。

みつぼり:ちょっと貰ってきたサークル一覧冊子確認するから待って。

いの:なんの時間なのこれ。笑

さいとう:C-××の子はね、地味な感じで非常によかった。次点はB-××。こっちも地味めな感じでかわいかったねー。サークル紹介には高校生ですって書いてありますね。

いの:(サークル紹介を見ながら)ペンネームが高校生っぽくていいね。

さいとう:あと最後に番外編でC-△△。これはブースでめっちゃカレー喰ってて面白かった。すごい、すーごいカレー喰ってて、なんかよかった。

みつぼり:なんかきみはかわいいの基準が歪んでるよね。

さいとう:俺が気後れしない女かどうかだから。そんなにかわいくなくていいんですよ。

みつぼり:いのさんは?

いの:いや、回ってる時にきみらに「お前のはいいよ」ってdisられてから全然確認してないんだけど。

さいとう:何でお前そんな心弱いの?

みつぼり:自分を貫けよ。

いの:・・・じゃあdisられる前に発見した子が一人いるんだけど、えーと、E-××。一人でブースにいたんだけど、なんか居場所なさげな感じでよくて。

さいとう:そーなんだよな!! あの会場でさあ、一人で寂しそうにしてるだけで3割増しぐらい良く見えるよな!

いの:で、ブース撤収する時間にその人のサークルに立ち寄ってみたんだけど・・・

さいとう:あ、それすげーフェチズムお前! それわかるけど!! 撤収シーンはお前それすげえよ。やばいよ。

いの:いや別になんか狙って行ったわけじゃなくてたまたまなんだけど、その人の撤収をお母さんくらいの年の女性が手伝ってて、なんか最後まで男っ気ない感じがすばらしかった。

さいとう:その撤収みれたのはすごい良いな。販売中は別に座ってりゃあいいだけだけど、お前、撤収シーンは自発的に行動しなきゃいけないじゃないですか。これはすごいですよ。

いの:あ、あの子歩けるんだ、みたいなね。

みつぼり:www

さいとう:いのは本当に変態だなあ。俺は間に合わなかったよその思考。そうか・・・最後はミス文フリの撤収シーン見に行かなきゃいけなかったんだな・・・。

みつぼり:ひとつだけ確かな結論が見つかってよかったね。

 

 

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というわけで今回の座談会、文学フリマ全力レビュー!!!!!!!回はこんな感じです。5年前の方が活気があったとか、昔の方がカオスで良かったとか、そんなことばっかり何度も繰り返していますが、何度も繰り返したくなるくらい僕らが感じた正直な感想なんだろうなあと思い、カットせずにあえて盛り込みました。

 

座談会全体として文フリdisが多めのような気がするので、まあ一応誤解のないように申し上げておきますが、僕らの基本的な考え方としてああいう即売会はもちろんあってよいと思うのです。特に、ケチはつけてますが参加されている方々は思い思いのものを発表して世の中にぶつければいいと思います。運営に止められない限りはブレスレットもじゃんじゃん売りましょう。

 

ここからはあくまで僕の個人的な意見ですが、ひとつだけ最後に申し上げるとするならば、主催側といいますか、運営されている側は『文学作品の展示即売会』を銘打ってその界隈の最大イベントとなってしまった文学フリマを、これからどのように舵取りしていくのか、よーく考えていって欲しいなあと思った次第でございます。みんなで作る文フリですが、ガワというか、展示即売会のパッケージはあくまで主催側が作るものだからねえ。これからも、よりよいものにしていって欲しい。

 

文学フリマ・文フリで検索してこの記事に辿り着いた人はとりあえず一度行ってみて、自分の目で感じてみると良いと思いますよ! 特に撤収シーンは見ものやで!!!!

 

(文責・みつぼり)

座談会:『はじめてのピンク映画!』後編

前編はこちら。

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上野の興奮も冷めやらぬ中、シネロマン池袋にやってきました。

―『強制飼育 OL肉奴隷』inシネロマン池袋―

あらすじ:TVのニュース番組は、若い男性が元交際相手へのストーカー行為で逮捕されたことを告げている―。交際を始めてから5年、フィアンセと同棲中のOL・由美子だったが、彼氏だけでは飽き足らず、社内不倫も愉しんでいる。しかし、その現場を普段から折り合いの悪い同僚の佐藤に見つけられてしまい・・・。

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近代的な上野オークラ劇場に比べると、シネロマン池袋は外観も内部も昭和の空気を残しており、長い時代を生き抜いた歴史を感じさせます。元々は日活の直営映画館だったのですが、2008年に経営撤退。それ以降は、別の会社が経営を続けているそうです。

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上野と違い、こちらはイベントもないのでロビーも閑散としています。

劇場内に入ると、観客は全体で20人くらいでしょうか。大半は落ち着いて後ろの方で映画を見ていますが、おもむろに立ち上がっては周囲を物色してまわる方々も数名。私の目に映った限りでは、その場で自分を慰めだす中年男性と、老人男性2人組が互いの老人男性を口に含んでいると思しき様子が見えた以外、いたって淡々と上映時間が過ぎていきました。なお、さいとうとみつぼりはそういった光景すら目に入らなかったようです。

さいとう:すっごく、平和だったな・・・。

 

-夜。池袋の居酒屋にて-

<ピンク映画どうでした?>

さいとう:さて、ピンク映画館をハシゴしたわけですけども、どうでしたか。

いの:うーん・・・遅かれ早かれ、ピンク映画は滅ぶわ。

さいとう:まあ、そうだよなあw

みつぼり:シコるんならAVがあるしさあ。映画はあれで1800円でしょ?

いの:まあ、本来3本立てのところを、俺らは1本だけ見て出てきちゃったからさ、コスパ的には実際もう少し割安だけどね。

みつぼり:それでも、1本600円じゃん。AVだってレンタルならせいぜい300円ってとこだよ。

いの:そうだね。一般の映画とレンタルソフトの関係で言えば、劇場の大画面で体感することに意義があるからってことで、映画館代とレンタル代の差にみんな納得してると思うんだけど、ピンク映画は別に劇場の大画面で堪能しなくていいじゃん。

みつぼり:画質もショボかったなぁ、特にシネロマン池袋の方。HD画質のAVなんて今時ごろごろ転がってるんだからさ、それに対してどの要素で勝負できるんだよって話だよね。

さいとう:まず、その場で抜けないってところで、どうしてもAVよりも劣るんだよな。だから、ピンク映画館の改善点としては、その場で抜くためのバックアップ体制を強化する。

みつぼり:肘掛けのコーラ置くところの代わりにティッシュ置けますみたいな?w

さいとう:そうそう。おしぼりとかも付いてて。

みつぼり:女の子も入ってきてね。

いの:4DXじゃん。

さいとう:そこまで行くと違うサービスになっちゃうけど、家でシコれない人が、ここなら気楽にシコれるっていう場所に作り替えていった方がいいよ。

いの:それは今は、個室ビデオ店が果たしてる役割なんじゃない?

さいとう:ああー、確かにそうだなあ。

みつぼり:(ピンク映画は)消えゆくものですよ。遅かれ早かれ。というかね、AVと比べた時にワクワク感が全く無いんですよ。AVの場合は、女の反応は演技なのかもしれないし、本物なのかもしれないし、少なくとも何割かは本物の反応が混じっているかもしれないっていうワクワクがあるじゃない。

いの:それな。

みつぼり:ピンク映画の場合は、明らかにこの潮吹きは嘘で、このフェラも嘘でって分かるクオリティの低さだからさ。「これ、もしかして本気で感じてんの!?」みたいなワクワクが皆無だよね。つまんねえ作り物やってんなあと思いながら観てた。

いの:そこらへんは、今のAVがピンク映画全盛期の時代の水準と比べて、あまりに過激になってて俺らの感覚がマヒしてるところでもあるよね。ある意味、全編演技っていうのは、ピンク映画が「映画」として譲れないところとも言えるのかもしれない。

 

<【上野オークラ】1本目の映画「つちんこ」どうでした?>

さいとう:まあ・・・独特ではあったよね。舞台挨拶でも、いまおかしんじ監督の「いまおかワールド炸裂」だ、なんて言われてたけど。

いの:確かに、普通のAVでは見れない世界観ではあるけども。あれでなんちゃらワールドとか言われて褒められるんなら楽なもんだよね。支離滅裂な話を支離滅裂に撮ってりゃいいんだもん。

みつぼり:あんなん俺でも脚本書けるわ。ツイッターで宣伝見たら「摩訶不思議」とか書かれてたけどさ、便利な言葉使ってんじゃないよ!

さいとう:あれを1時間、シークバーもない劇場で観させられるのは拷問でしかないよね

いの:日活ロマンポルノと違って、金が無いのは分かるけどね。だから映像レベルが上がらないのは仕方ないけど、脚本はいくらでも練れるでしょ。観客があれで良しとしてるんだったら、ピンク映画は本当に終わりだよ。客も作り手も現状で満足してるなら、良くなる余地が無いでしょ。本来なら舞台挨拶でブーイングが起きるべきだよ

さいとう:監督も心の中ではさ、「なんだよお前ら、怒れよこんなクソ映画観せられてよ! バカな客しかいねえのか!」って思ってるかもしれないよな。

いの:何をみせてもリアクションが変わらないなら、創作意欲も死んでいくよな。

さいとう:30年前はもう少し、ちゃんと映画を志してた熱い青年だったのかもしれないけど。

みつぼり:(今岡監督)枯れてたよね。

さいとう:ふてくされてたよ。

みつぼり:出涸らしだった。

 

<【池袋シネロマン】2本目の映画「強制飼育」どうでした?>

さいとう:いやー酷い。「つちんこ」の方がまだマシだった。

いの:あんまり変わんないと思うよー。どっちもどっち。

さいとう:しょんべん飲むシーンとか必要か? ていうか、「つちんこ」もこっちも、男優の演技のレベルが酷いよな。

みつぼり:出演者は役者なの? 役者ですらないんじゃない?

さいとう:それこそ、ニコ動とかで流行ってる「真夏の夜の淫夢」系動画の男優陣と同レベルってどうなの?

みつぼり:セリフもとりあえず嚙まなければ一発OKって感じの出来だったよね。 

いの:(あのレベルの人に演技させるくらいなら)そこらへんの金に困ってる劇団員とか役者の卵とか、いくらでも安く呼べるんじゃないのって思うんだけどね。そこまでケチるんだったら映画なんて撮るんじゃないよ。森田芳光監督は実家を抵当に入れてデビュー作撮ったんだぞっていう。

 

<今後、ピンク映画はどうすればいいんでしょうね?>

さいとう:あのでっかいスクリーンで上映されてる映画より、質のいいオナネタがたくさんスマホに詰まっちゃうわけで。それどころか今やVRの時代ですよ。

みつぼり:そうだねえ。

さいとう:過去、ピンク映画やポルノ映画に素晴らしい作品があったというのは、これからも語り継いでいけばいいと思うんだけど、それとピンク映画館の灯を絶やすなって話は別でさ。やっぱり、現在のピンク映画は絶えるべくして絶えていくものだと思いますよ。

みつぼり:生き残りたいなら質上げろやとしか言えないね。

さいとう:撮っていいなら1本撮ってみたいね。300万で4日間、どうしよっかなあ。

みつぼり:今日のよりはもっといいもの撮れる自信あるわ。

さいとう:例えばさ、60年代末の日活みたいに、今大手映画会社がピンク映画に参入したら何か変わるのかね?

いの:東宝が製作して、全国のTOHOシネマズで上映とかね。それで言えば、新宿武蔵野館みたいなミニシアターで「ロマンポルノ・リブート」っていう、園子温やら行定勲やらが日活ロマンポルノ的なものを現代に蘇らせる企画をやったばっかりだけど、結局それと同じようなものが出来上がるだけじゃない? 

さいとう:文芸路線的な?

いの:そうそう。言ってみれば、今さらポルノ映画・ピンク映画の名を冠して、一般の映画会社が映画作る必然性って無いわけで、だって一般映画で過激なエロ描写なんていくらでもあるじゃん。R―18でレーティングしたら、昔なら成人映画館で過激なタイトル付けなきゃいけなかったような映画が普通に上映できちゃうわけだよ。

さいとう:ドキュメンタリーで観たけど、70年代はロマンポルノ裁判っていう、ロマンポルノは猥褻か否かみたいな裁判まであったんだから、その時代に比べたら表現の自由度が広がってるわけだよね。裁判にかけられた映画も、今観たら大したことないんだろうしね。

いの:そういう裁判も経て、当時のポルノ映画やピンク映画が切り開いてきた道ってのは確かにあって、それが今に繋がってるんだと思うけど、だからこそね、すでにその役割を果たした2017年現在にその存在意義をどう見出だせばいいのかに難渋してるわけだけどね俺達はw

 

<そろそろまとめに入りましょうか>

いの:でもね、今日いいなあと思った瞬間があってね。上野オークラ劇場の舞台挨拶で、みつぼりが2階で遭遇した人達もそれを見に来てたって言ったじゃん。

みつぼり:いたいた。

いの:映画の上映中におっぱじめてる人達が、その時だけ降りて舞台挨拶を見てるわけだよ。最後に女優さんとのじゃんけん大会をやったけど、2階にいた人が優勝してポスターをゲットしてたんだよね。劇場のアシスタントのお姉さん(このお姉さんもピンク女優)とハイタッチして嬉しそうでさ、映画なんてろくに観ちゃいないくせにさ。でもあの光景は、なんだかすごく温かいものに思えたんだよなあ

みつぼり:あー・・・。

いの:本当にただのハッテン場としてしか考えてないなら、1階に降りてくる必要なんてないんだよ。

さいとう:それは確かにそうだわ。

いの:でも舞台挨拶をちゃんと聴きに来るっていうのは、あの人達の中に上野オークラ劇場っていう場所に対するリスペクトがちゃんとあるんだなって思えたんだよね。あの劇場を必要としているからこその行動だったと思うし、誰かの大切な居場所になってるんだったら、できたら無くならないであげてほしいって思えたんだよね。

さいとう:ゲイの人の居場所ってのは分かるんだけど、じゃあ1階にいたノンケの人達はさ、何を求めて劇場に来てるんだろうね。常連っぽい感じの人とかいたもんね。

いの:時間つぶしならもっとマシなもんがあるだろうと思うけどね。

みつぼり:趣味のないやつが外でやることっていうと、パチンコとか競馬とかメダルゲームとかあるだろうに、あえてピンク映画かあ。

さいとう:普段何やってんのあの人達。

みつぼり:舞台挨拶でカメラ構えてた人達はまだ分かるんだけどね。ソフマップとかのイベントにも来るようなカメラ小僧が劇場まで追っかけて来てるんでしょ。それ以外の、ほんとにただ座って映画観てる人達はねえ、不思議だよねえ。

いの:ピンク映画全盛期からの習性で足を運んじゃう、みたいなのがあるのかな。そこでしか会えない仲間がいて、馴染みの店みたいな感じで通ってしまうのかもね。

さいとう:そういう人達にとっては、ピンク映画館が心の拠りどころになってるんだろうねえ。

いの:という感じで締めますか。誰か、他に何か言っておきたいことはある?

みつぼり:やっぱり君ら2人もさ、次は上野オークラ劇場の2階を体験してみるべきだよ。

 

ーーーー

 

さてさて、いかがでしたでしょうか。

我々3人にとっては、残念ながらあまり響かないピンク映画体験となったわけですが、ピンク映画に精通されている方々からすれば、何にも分かっちゃいないと言いたくなるような座談会だったかもしれません。気に障るようなことも喋っているかもしれません。所詮通りすがりの戯言なので、そこは大目に見ていただけると・・・と思います。

誰かにとっては取るに足らないものが、他の誰かにとっては、何物にも代えがたい宝物であることがあります。ピンク映画も、今やそういうものなのだろうと、上野オークラ劇場の舞台挨拶で、ハッテン場である2階から降りてくる人々を見た時に感じました。私とは平行線の世界にいる人々の、ここは大切な居場所なんだと思うと、どんなにろくでもない映画ばかり流していようと、必要としている人がいる限り、できれば消えないで頑張ってほしいなと、切に願うのでした。でも本当に、作り手はもうちょっと本気で映画作ろう?

 

(文責:いの)

座談会:『はじめてのピンク映画!』前編

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昭和の時代、一世を風靡したピンク映画も、いまや都内では常設の上映館を2館残すのみとなった。平成も終わろうとしている今、かろうじて灯っていたピンク映画という火が、消えかかろうとしている。
僕たちは、ピンク映画館に行ける最後の世代になるかもしれない。
多様化するエロを謳歌してきた僕たちに、かつて覇権を握ったエロ・レジェンド、ピンク映画はどう映るのか。
そこにあるのはきっと、在りし日へのノスタルジーだけではない。僕たちが知らなかった、4DXを超えた映画体験が、そこにあるかもしれない
1月の凍える街に、愛の灯火を求めて集う男たちと共に、僕たちロクリンシャは何を見る。

 

ということで、新年最初のロクリンシャ座談会、テーマはピンク映画! ロクリンシャメンバーは一応みんな20代なので、性に目覚めた頃からすでに、簡単に無修正エロ動画にアクセス可能な世界が広がっていました。その一方、成人映画館はと言えば、都内に限っても2012年には浅草世界館・浅草シネマ、2014年には新橋ロマン劇場、2016年には飯田橋くらら劇場と閉館が相次ぎ、最後に残ったのは上野オークラ劇場とシネロマン池袋の2館のみという現状。これは急がないと、「ピンク映画を成人映画館で観る」という体験が過去のものになる恐れがあります。今回はその現存する2館にお邪魔しました。

 

潜入レポの前に、簡単にピンク映画・ポルノ映画についてお勉強しましょう。詳しくはwikiを参照してもらいたいのですが、大手映画会社によって製作された劇場上映作品を「ポルノ映画」、独立映画会社によって製作された劇場上映作品を「ピンク映画」と呼ぶそうです。

ポルノ映画で有名なのは、やっぱり日活が1971年から1988年まで制作した「日活ロマンポルノ」でしょう。他にも日活に先行して東映が、1960年代後半から1970年代末頃までポルノ映画を製作しています。テレビ等の新しい娯楽に押され、興行の伸び悩んでいた当時の映画業界が、起死回生の手段としてポルノ映画の製作をはじめたわけです。特に経営難に喘いでいた日活は、一般映画の製作をほとんどストップし、ポルノ映画に社運を賭ける方向に舵を切りました。“10分に1回絡みのシーンを入れる”、“低予算”、“70~80分の尺”という制約を守れば、自由度の高い映画表現が許された制作体制は、クリエイターの創作意欲を刺激し、数々の名作を誕生させ、また多くの著名な映画監督を世に送り出したのでした。

一方、ピンク映画は、 ポルノ映画より以前の60年代前半頃から中小規模の映画会社が製作しており、当然大手映画会社の製作したポルノ映画よりさらに低予算(「300万円で撮影期間3日間」が一般的だという)で製作されています。前述のとおり、ポルノ映画は日活ロマンポルノの終了により1988年に幕を閉じていますので、それ以降現在に至るまで新作が作られているのは、このピンク映画の方というわけですね。

事前課題として、ロクリンシャメンバーには日活ロマンポルノ作品『(秘)色情めす市場』(1974年)と、NHK制作のドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ 運命の分岐点「ロマンポルノという闘い 日活・どん底からの挑戦」』を観てもらいました。

(秘)色情めす市場 [DVD]

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さいとう:ビールぶっかけながらヤる場面で一応勃った。このシーンでクールなヒロインがはじめて嫌がってたのが良かった。

みつぼり:ロン毛の兄ちゃんが爆発するシーンで理解が追い付かなかった。こんなの雑念多すぎてオナニーできないよ!

 

 イノは他に以下の3本も鑑賞。

ラブホテル [DVD]

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セーラー服と機関銃』『台風クラブ』の相米慎二監督作。 80年代半ばの都会的な空気感がたまらない作品です。ちなみに80分くらいの尺で、まともにエッチシーンと言えるものは2回くらいしか無かったと思うんですけど、すでに実績のある監督だから許されたんでしょうかね。

宇能鴻一郎の濡れて打つ [DVD]

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 平成ガメラシリーズや『デスノート』の金子修介初監督作品。一言で言えば『エースをねらえ』のエロパロディです。これ、全編パワーワードに満ちててめっちゃくちゃ面白いですよ。平沢進みたいなコーチがヒロインの腰のバネを鍛えたり、脱水症状を肉棒注射で治療したりと、見ごたえのある熱血指導が繰り広げられます。笑いだけじゃなくてちゃんとエロいのも良いです。

Mr.ジレンマン 色情狂い [DVD]

Mr.ジレンマン 色情狂い [DVD]

 

主演が若かりし頃の柄本明。ヒーローモノらしく、真似したくなる名乗り口上がしっかりあるのが良いです。家族内でのカースト下位のお父さんの悲哀に満ちたお話なんですが、後年の『逆噴射家族』とかも少し連想しますね。

 

さて、予習してきたのが往年の日活ロマンポルノで、実際に鑑賞するのが現代のピンク映画なので、本題と事前課題とで少々ズレがあったりはするのですが、ロマンポルノも3本立て上映の1本は他社から買い付けたピンク映画だったそうですし、そこはまあ、あまり気にしないということで。

 

 -1月28日(土) 昼 上野にて-

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みつぼり:いの君、今日のスケジュールの説明を。

いの:はい。えー、まず上野オークラ劇場で『感じるつちんこ ヤリ放題!』を舞台挨拶まで鑑賞、その後シネロマン池袋で『強制飼育 OL肉奴隷』を鑑賞します。

みつぼり:『つちんこ』楽しみなんだよね。頭悪そうでさ。

いの:一応、事前情報で2人にも伝えてたけど、ピンク映画の劇場は今や、ゲイの方の出会いの場になっているそうなので、純粋に作品鑑賞できる空気かは分からないからね。

みつぼり:うん。だから俺、何があってもいいようにと思って、一応朝シャワー浴びてきてるから

いの:さすが、仕上げてくるねえ。

さいとう:3年後に路上で体売ってるみつぼりと再会したくないよ俺は。でも上野オークラ劇場は、今日は舞台挨拶があるから、純粋に女優目当てのノンケが多いんじゃないの?

みつぼり:本当に? ハプニングバーみたいな感じになってない?

いの:でもまあ、状況に流されるなら流されるでアリ。そのあたりは互いに見て見ぬフリをするってことで、「このまま最後までいいかな」って判断ならそれはそれでいいと思う。

さいとう:何を言ってるんだ。

みつぼり:いやいや、分かりませんよ、こればっかりは。

 

ー『感じるつちんこ ヤリ放題!』in上野オークラ劇場ー

あらすじ:滝を見るために山奥までやって来たタクシー運転手の一郎(櫻井拓也)と妻の園子(涼川絢音)。しかし道に迷ってしまい、とうとう野宿するハメに。ところが一郎がツチノコらしき怪生物に襲われて瀕死の状態になってしまう。園子は何とか助けを呼ぼうとするのだが・・・


映画 『感じるつちんこ ヤリ放題!』 予告

 

そんなわけで、上野オークラ劇場にやってきました。

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入場すると、ロビーの雰囲気は映画館のロビーというよりも・・・

みつぼり:ピンサロの待合室に来たみたい。

確かに、お客さん達も心なしかそわそわした感じで、映画を楽しみに来たという様子ではなさそうな気も。

料金は一般1,600円で、3本立ての入れ替え無しでの上映。毎日オールナイト上映なので、その気になれば朝から翌朝まで入り浸ることもできます。

料金表の中に、見慣れない表記を発見。「2階席2,000円」。2階席・・・?

みつぼり:せっかくだから3人で2階席行かない?

いの:あの・・・たぶん2階席っていうのはさ、いわゆるハッテン場なんじゃないかと思うんだよね。

みつぼり:ああ、そういうこと!? 分かんないじゃん、1階がハッテン場で2階がマッタリ見たい人用かもしれないよ?

いの:どうだろう・・・

さいとう:まあ、どっちにせよ普通にただ映画観てる人もいるんじゃね?

真相を確かめるために、じゃんけんで負けた人が2階席に行くことに。結果、言い出しっぺのみつぼりが潜入することになりました。

 

<1階>

いのとさいとうは1階席へ。劇場内に入ると、予想以上に広く、8割近く席が埋まっているという盛況ぶり。しかも、なぜか立ち見客が非常に多い。上映中も私語が多く、こんなに落ち着かない映画鑑賞体験ははじめてでした。客層は主に中年~老齢の男性。一部に中年カップル(?)の姿も。通い詰めている馴染みの客が多いのか、なんだか不思議とアットホームな空気も流れているように感じました。噂に聞いていた、カップル(男×男含む)がおっぱじめるみたいなことは無し。

 

<2階>

2階席に向かったみつぼり。以下、LINEでの実況中継です。

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あとで知ったのですが、どうも2階席は女人禁制になっているそうです。やっぱり、2階はそういう目的のための場所だったみたいですね。最初は怖がっていたみつぼりも、さすがの適応能力で最後は相手を受け入れる姿勢を見せたのは、映画以上にドラマチックでした。

 

ノンケ向けの舞台挨拶を終え、山手線内で興奮ぎみに2階での体験を語るみつぼりと僕たち一向は、次なる劇場、シネロマン池袋へ向かうのでした。

 

つづく

 

(文責:いの)

座談会:『絶対に見るべき最強の展覧会はこれだ!アートランナーが往く東京美術館マラソン2016秋』 ~結果発表~

美術館マラソン、いよいよ最終回!

ついに、2016年秋最強の展覧会が決まります。

2017年の正月に決まって何が悪い!

 

21時頃。アメ横の水タバコ専門店にて。

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初体験の水タバコに、しばし舌鼓を打つ一同。

アップルミントとココナッツバニラを注文。

感想は、「鼻の中がしっとりする」「いの君が吸ってると現地の中毒者みたい」「いの君蛇使いみたい」「いの君だけアヘンやってない?」などでした。

 

みつぼり:いの君、投票のルールをもう一度まとめてもらっていい?

いの:はい。えー、5つの展覧会に1位から5位までそれぞれ順位を付けていってください。得点は、1位が5点、2位が4点、3位が3点、4位が2点、5位が1点となります。合計得点が最も高い展覧会が、最強の展覧会です。

さいとう:その最強って概念がよく分からないけど。頭悪そうってのは分かるけど

いの:(無視して)じゃあまずは、さいとう君からランキング発表をどうぞ!

さいとう:はいはい・・・。

 

<さいとうのランキング>

5位(1点)鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館

コメント:非常にピンとこなかったね。

4位(2点)宇宙と芸術展(森美術館

コメント:あまりにも他の展覧会とレベルが落ちる。でも単体では笑える展示もあったし、体感系の展示は現代アートをよく知らない自分にとっては新鮮な部分もあった。流星刀は最高。

3位(3点)平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館

コメント:昔の人たちがひとつひとつ大事にしてきた仏像を、あれだけ一堂に会して好き勝手見られる優越感のような面白さ。絵画を見比べるのはなかなか難しいけど、仏像はそれができる。好みの子(薬師如来坐像)にも出会えました。

2位(4点)ゴッホゴーギャン展(東京都美術館

コメント:ゴッホの絵はやっぱり好き。音声ガイドを聴いていれば、もっと展覧会の世界観にのめり込めたのは間違いないので、もったいないことをしたなーという感じです。

1位(5点)ダリ展(国立新美術館

コメント:中二病的な妄想が湧いてくるのが楽しかったし、淫靡な世界観が好みだった。映像や宝石の展示もあって、マルチな活躍をしていたことが分かったのも面白かった。

 

<みつぼりのランキング>

5位(1点)宇宙と芸術展(森美術館

コメント:他の展覧会は、「ここが良かった」と言えるポイントがあったけど、これに関しては何も無かった。

4位(2点)平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館

コメント:単純に、他の展覧会に比べると展示数も少ない分、楽しみどころも少なかった。木彫りの作品に関しては特に、仏像さんのお顔立ちも魅力に欠けるところがあって、それが粗削りで味わい深いのかもしれないけど、それを含めて楽しめるほど、まだ仏像の見方がよく分からない。

3位(3点)ダリ展(国立新美術館

コメント:絵で表現しようとしてることが読み切れないし、絵そのものもあまり引っかかるところが無かった。これはもう好みの問題だけど。展覧会内でのダリの人物そのものへの踏み込みが少ないから、絵からすべて読み解いていくしかないのが辛かった。事前に人物像については予習が必要かもね。

2位(4点)ゴッホゴーギャン展(東京都美術館

コメント:母親の高校時代の友達が、美術館の館長の娘だったのもあって、その流れで家にゴッホゴーギャンの画集があったんすよね。それで慣れ親しんでたから、特にゴーギャンを生で見れたことの感動があった。やっぱり実際に見て迫力があって、素養が無くても楽しめるから、見ておいて損は無いんじゃないですかーってところで2位ですね。それと、1つ1つの絵にしっかり解説が書かれてたのも丁寧な展示だと思った。関係性云々ってところはあまり入り込めなかったかなー。

1位(5点)鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館

コメント:日本画ってほんと素晴らしいと思った! あれが当時支持されて、今もなお残っている理由に本当に感じ入ることができる展示だったというか。俺みたいに美術の素養が無くても、直感的に語りかけてくるものがあって、楽しかったですね。もう1回行ってもいいと思えた。美術館に行って、「一緒に行った人と共有できて、なんとなく楽しかった」くらいなら以前もあったけど、例えばライブに行った後の「すげえ気分良かったな!」ってのは、今まで美術館では感じたことが無くて。それが鈴木其一展はね、それに近いものがあったね。素晴らしいです。

 

<いののランキング>

5位(1点)平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館

コメント:あそこで仏像を見てもしょうがないと思った。現地の寺で、秘仏一斉公開としてやればいい話で、作品として東京に持ってこられても・・・という感じ。

4位(2点)宇宙と芸術展(森美術館

コメント:個々に見ていけば、光るものもある。とにかくコンセプトが全然ダメ。宇宙ってもっとワクワクするものじゃん。もっと俺はワクワクしたかったよ。流星刀は最高。

3位(3点)ダリ展(国立新美術館

コメント:もっとダリって面白い人だったはず。ダリを最大限に楽しむなら、エンターテイナーでありお騒がせ有名人だった彼の、人としての魅力について描き出すのが欠かせないのでは。作品だけが高尚に飾られても、どうしても片手落ち、消化不良感は否めない。

2位(4点)鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館

コメント:1位と迷ったけど、この位置で。今回一番発見があったのがこの展覧会。浮世絵と比べて敷居が高いと感じていた日本画が、こんなに面白いものだったとは! お堅いと感じていた日本画も、よくよく見るとバラエティ豊かだし表現も楽しくて、我々はすごく豊饒な文化を下地に今を生きてるんだなあという感慨がありました。

1位(5点)ゴッホゴーギャン展(東京都美術館

コメント: 最も心を動かされたという意味で1位。1人の人間としてのゴッホゴーギャンへの共感により、展覧会の世界にぐいぐい引き込まれていった。2人とも、上手くいかないことの方が圧倒的に多かった人生だろうけど、それでもこんな友人と出会えただけでも、だれが何と言おうと幸せだよねっていう。死ぬ間際に、「ロクなことがない人生だったけど、でもあいつとアルルで過ごした2か月間は確かに輝いてたなあ」って思えたのなら、それはゴッホゴーギャンにとっても、彼らの絵を見る我々にとってもある種の救いだし、誰かとこんな魂の繋がりを持ちたいって、みんなどこかで求めてるんじゃないの!? それでもって、共同生活が2か月で終わった後、ゴッホゴーギャンに送った手紙の破壊力ですよ。「私たちはお互い好き同士なのだから、またやり直せると思います」だって・・・関係性萌えの極致だよねぇ。もはや絵の感想じゃない。でも展覧会としては最高だ。

 

各自のランキングは以上。

それではついに、最終結果の発表です!

 

第5位 宇宙と芸術展(森美術館) 5点

第4位 平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館) 6点

第3位 鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館) 10点

第2位 ダリ展(国立新美術館) 11点

第1位 ゴッホゴーギャン展(東京都美術館) 13点

 

というわけで、2016年秋最強の展覧会は、ゴッホゴーギャン展(東京都美術館)に決まりました!!おめでとうございます!!

 

ーーーー

 

さてさて、いかがでしたでしょうか。

芸術オンチ達の美術館マラソン、楽しんでいただけましたでしょうか。

個人的にはぜひ、2017年春頃にまた第2回をやってもいいと思ってるんですが、他の2人からは猛反対されています。 楽しいのに。このブログに触発されて、自分も美術館マラソンやったよという人がいたら、ぜひご一報ください。ブログにあげるのなら、展覧会の会期中にアップするのがおススメです。

ところで、我々ロクリンシャは、元々は大学の文芸サークル仲間が集まって結成されています。小説も、音楽も、絵画も、なんでもそうですが、アウトプットされるものは違えど、根源的な表現が生まれる瞬間というのはそう変わらないのではないかと思います。チャネリング霊媒じゃないけど、何か(例えばそれは神様だったり、言葉では掴めない何かだったり)に触れよう、近づこうとした時、表現ってやつが生まれるのだと思います。その表現は時に日本画の水や動物の躍動感であり、印象派の心象風景を描き出そうとする論理であり、意識の外に目を向けたシュルレアリストの挑戦であり、隕石を刀に加工しようとする閃きとロマンであり、一本の木と向き合う彫り師の祈りだったりするのです。たぶん。今回の5つの展覧会も、異なる時代、異なる国、異なるジャンルであれ、芸術を通して手を伸ばそうとした向こう側にある、言葉にならない「何か」は、実は5つともそう変わらない「何か」だったのではないでしょうか。何百年、何千年先の人々も、表現の形は変わっていっても、きっとその「何か」に手を伸ばし続けているのだろうなと思うと、まったく人間ってやつはという気持ちになります。やれやれです。

そういえば、当初の問題提起としての、『上手い・ヘタ、かっこいい・ダサい、シコれる・シコれない』という「ゆりえ式」(※この単純明快な、本能だけに従った評価方法をロクリンシャでは「ゆりえ式」と呼んでいます。この漫画が嫌いだ!2016で扱った『お嬢と東雲』を擁護する際に、「でもこの場面のお嬢可愛いよ」という全く脳みそを使っていないセリフが僕の口から連発されたことから、作者の奈院ゆりえ先生にちなんで命名されました)な見方から脱却し、知性的な目を養うことは果たしてできたのでしょうか。結果としては、やっぱりまだまだ「ゆりえ式」からの卒業は難しかったですね。でもだからと言って、積み重ねられたものがある芸術というものに対して、きちんと学問を修めなければ、「好き」も「嫌い」も言えず身動きが取れなくなるのもまた違うと思うんです。だったら「ゆりえ式」で物を見るのも案外悪くないし、そうやって今回、自分たちなりに展覧会を楽しめたじゃないか、それでいいんじゃないかと、そう思う次第です。

 

最後に、みつぼり君の一言でお別れです。

 

みつぼり:これ、座談会って言うより、ただ3人で美術館を回った楽しい祝日じゃねえの?

 

(文責:いの)

座談会:『絶対に見るべき最強の展覧会はこれだ!アートランナーが往く東京美術館マラソン2016秋』 ~ゴッホとゴーギャン展編~

企画の趣旨はイントロダクション参照。
美術館マラソン、ついに終着。

エントリーNo.5 『ゴッホゴーギャン展』(東京都美術館

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フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)とポール・ゴーギャン(1848-1903)。19世紀末に活躍し、今なお世界中の人々に愛されてやまないこの二人の画家に焦点を当てた、日本初となる展覧会を開催します。
オランダの牧師の家庭に育ったファン・ゴッホと南米ペルーで幼年期を過ごしたゴーギャンは、生い立ちや性格だけではなく、絵画表現も大きく異なります。ファン・ゴッホは現実の世界から着想を得て、力強い筆触と鮮やかな色彩による作品を生み出し、ゴーギャンは、装飾的な線と色面を用いて、目には見えない世界をも絵画に表現しようとしました。1888年、彼らは南仏アルルで約2カ月の共同生活を送ります。ともに制作し、時には激しい議論を重ねながら刺激を与え合いました。
本展は、ファン・ゴッホゴーギャンの初期から晩年にわたる油彩画約50点を含む約60点を展示します。二人の画家の特徴を浮き彫りにし、その関係性と芸術性に光を当てます。

公式サイトより)

16時30分頃、展覧会に入場。

さいとう:音声ガイド、声優の杉田智和小野大輔がやってるんだ。

みつぼり:完全にターゲット狙いすましてるよね。

いの:杉田がゴーギャン役、小野Dがゴッホなんだね。

みつぼり:しっかりマーケティングしてきてるねー。

さいとう:やっぱりゴッホゴーギャンってのは、その界隈では鉄板のカップリングなのかね。

いの:Pixivで確認したら、2、3枚くらいしかカップリングのイラストは無かったけど。

さいとう:確認してるのかよ。それは何、ゴッホの切り落とした耳をペロペロするゴーギャンみたいな。

いの:そこまでアバンギャルドではなかったよ(笑) アルルの麦畑で2人で寝そべってた。今回の展覧会は、その2人のアルルでの共同生活時代が主軸にあるらしいから、色々と妄想が捗りそうですな。

 

~1時間ほどで展覧会を見終え、アメ横に向かう一行~

 

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いの:いやー、もう夜ですよ。ほんとにね、1日いましたよ美術館に。開館から閉館まで!

みつぼり:自分の人生において、こんな1日を過ごす日が来るとは思わなかったよ。

さいとう:やれば出来るもんですねえ。

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 18時。アメ横の音楽のボリュームがでかい串カツ屋にて。

 

さいとう:ほい、じゃあ『ゴッホゴーギャン展』感想戦いきましょうか。いのから。

みつぼり:いの君、BGMうるさいから声張らないと聞こえないよ。

いの:えーっと、じゃあまず一言。めっちゃ良かったんじゃないですか!?

さいとう:ほう。

いの:それこそ有名なさ、ゴッホで言えば「ひまわり」とかさ、ゴーギャンで言えば「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」みたいな、超メジャータイトルは無いんだけどさ、じゃあ何が良いのかと言えば、やっぱりゴッホゴーギャンの2人の関係を、それぞれの作品を通して浮かび上がらせるっていう展覧会のコンセプトが、もうばっちりキマってたんじゃないでしょうか。

みつぼり:ふむふむ。

いの:一番最後に展示されてたゴーギャンの絵、ここでそれまで散りばめられていた物語が一気に集約されていくあの感じ、お見事としか言いようがない。だってもうさあ、ゴッホが死んで11年後にさ、わざわざフランスからひまわりの種を取り寄せて育てて、それを椅子に乗せてゴッホに見立てて描く(「肘掛け椅子のひまわり」)とかさぁ!

さいとう:あれはおいしいネタだよなぁ。

いの:おいしいでしょう! しかも、共同生活時代にゴッホが描いた「ゴーギャンの椅子」って作品がこの伏線になってるわけですよね! いやー見事な伏線回収ですよ。「ゴーギャンの椅子」は、椅子の上に置かれたろうそくと本をゴーギャンに見立てて描いた作品だけど。「肘掛け椅子のひまわり」と「ゴーギャンの椅子」、この2点を持ってこれることが決まった時の、企画者のガッツポーズが俺には見えたね。

みつぼり:いの君、そういうロマンチックなものに弱いもんね。

いの:技術的なところは分からないからねー。そういう物語性に頼ってしまうところはある。それでもゴッホの絵は単体で見てもまだ分かりやすいんだけど、ゴーギャンってだいぶ難解じゃないですか。

さいとう:そうだね。

いの:でも、ゴーギャンというキャラクターを理解した時、そんなゴーギャンが描いた絵だと思うと、理解はできなくてもなんとなく愛おしく感じられてくるんだよね。その絵を描いてる時のゴッホとのやりとりとか妄想したり。

みつぼり:腐女子かお前は。

いの:ゴーギャンツンデレゴッホヤンデレなんだよね。ゴッホは「こんなに好きなのになんで分かってくれないの!?」って感じだし、ゴーギャンはつれない態度を取ってるけどなんだかんだでゴッホのこと大好きなんだよね・・・。

さいとう:妄想膨らみすぎだろ。なに、音声ガイドでも杉田と小野Dでそんなイチャコラやってんの?

いの:そんなにあからさまではないけど(笑) ちゃんと展覧会の音声ガイドから逸脱してないけど、でもそれを聴いた俺の中の腐女子はそう言ってる。だからねー、そんなわけで完全に物語の中に引き込まれてたから、最後の絵の前で俺、ちょっとだけ泣いてた。

さいとう:まじか(笑)

いの:昔、三谷幸喜の『コンフィダント・絆』っていうゴッホゴーギャンの出る舞台を観て、それで余計にイメージが膨らんでる部分もあるかもしれないけどね。まあ、大きな目玉となる作品があるわけではない展覧会のアプローチとして、物語性を押し出して、展示構成から音声ガイドまで、きっちり筋の通ったコンセプトを貫き通したというのは、展覧会の作りのひとつの答えとして100点満点に近いんじゃないでしょうか。良かった。以上です。

さいとう:絶賛ですな。俺も良かった。でも俺は音声ガイド買ってなくて、途中でこれは音声ガイドがあった方が絶対に面白いし入り込めるってことに気づいてさ。買おうかとも考えたんだけど、結構進んじゃってたから戻るのが面倒で結局買わなかったんだけどね。見終わっていのの話聞いたら、やっぱり聞けばよかったと思った。実際ゴーギャンの人物像とか、いのが言うほど見えてきてないからさ。だから俺のミスで楽しみきれなかったのは心残りかな。あとはねー、ゴッホの絵は実物見るとやっぱりいいねー。

いの:厚塗りで絵の具が浮き出してる質感がいいよね。

さいとう:サインもね、塗りに沿って書いてあったりするのよ。

みつぼり:そんな細かいところまで見てたんだ。

さいとう:そうそう。サインひとつとっても流れを意識して書いてるんだなって気づけて、楽しかったねー。ゴーギャンはちょっとまだ、よく分からない。タヒチに惹かれてるところとかも。

いの:音声ガイドで言ってたけど、ゴーギャンは生まれがペルーなんだって。

さいとう:ああー、なるほどね。

いの:だからああいう、南国的な世界観、未開の地に住む人々にシンパシーを感じるところがあるんじゃないかね。

さいとう:そのあたりの話も、掘り下げていくと面白そうだなとは思うんだけどね。でも今回はあくまでゴッホゴーギャンが主題だから、タヒチゴーギャンタヒチとフランスみたいな話は軽めでいいのかな。まあ、とにかく本物のゴッホの絵を見れたのは良かったという、そんな感じです。

みつぼり:なるほど。じゃあ最後は僕ですね。結論から言うと、楽しかったことは楽しかったです。でも、ゴッホは僕あんまり得意じゃないんだと思う。芸術の作品なんだろうなってのは分かるんだけど、あんまり入ってこなくて、どっちかというとゴーギャンの方が良かったですね。背景とかは分かんないんだけど、タヒチのチョコレートブラックの肌の人たちをモチーフにしてるってのはすごく好きでさ。最後の方に展示されてた「タヒチの3人」がすごく良くて、ずーっと座って眺めてた。

いの:あれは良いよね。

みつぼり:フランスで育った西洋人の画家さんが、自分の中のモチーフを求めて、南の島のタヒチに行って、死の間際はさらに原始的なものを求めて、もっとよく分かんない島に行ってるわけでしょ? そういうものを求めて生きた芸術家の流れが追えたのはすごく良くて、総合的には楽しく見れましたね。

いの:南国に自分の中の答えを求めるみたいなのはさ、みつぼり君も離島に行きたいとか、四国で農業やりたいとか言ってるけどさ、そういうところでシンパシーを感じるものが少なからずあるのかな。

みつぼり:かもしれない。昔からそうなんだけど、都会的なものを享受はしていても、本質的には人間も結局は動物なんだから、最終的に追い求めるものは風景とか自然とか、人知を超えたものの中にしかないでしょというのが持論としてあるからねー。

さいとう:なるほどね。ゴッホはどう感じた?

みつぼり:ゴッホに関しては、自分の中でピンときてない部分もあるけど、その絵に込められてる意図とか背景とか考えるよりも、これはこういうものだなーって、その絵だけ見て自分がどう思ったかって時に、力強い筆致でメリハリが効いてて楽しいなあとか、そういうものはやっぱりあったよね。

 

そんなわけで、無事すべての展覧会を制覇したロクリンシャ。

果たして激戦の末、最強の座を手にするのはどの展覧会なのか。

次回はついに最終投票です! お楽しみに!

 

※『ゴッホゴーギャン展』は、東京都美術館ではすでに閉幕しましたが、2017年1月3日からは愛知県美術館でスタートします。

 

(文責:いの)